2005 Fiscal Year Annual Research Report
大・小マゼラン雲における分子雲の進化と星形成の観測的研究
Project/Area Number |
04J05883
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南谷 哲宏 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マゼラン銀河 / 電波天文学 / 電波望遠鏡 / ミリ波・サブミリ波観測 / 分子雲 / 星・星団形成 / NANTEN2望遠鏡 / 超伝導受信器 |
Research Abstract |
今年度は、チリ・アタカマ高地に移設された「NANTEN2」望遠鏡の立ち上げ、345GHz帯受信器の開発、大・小マゼラン雲に対するサブミリ波観測の詳細解析の3項目を行った。 1、「NANTEN2」望遠鏡の立ち上げ 昨年度中に移設を行った「NANTEN2」望遠鏡に、115GHz帯超伝導受信器、光学系、分光計等、観測に必要な各種装置を搭載し、天体からの電波を受信できるよう調整を行った。これらの作業は、教官や技術職員、他の大学院生と分担・協力して行ったが、私はこのうち、主に、チリの望遠鏡サイトにおいて、主鏡面パネルの調整、超伝導受信器の立ち上げ、光学系の調整の3項目を行った。この結果、2005年9月にファーストライトを迎え、2005年12月には、電波受信系について、ほぼ設計どおりの性能を達していることを確認した。来年度のサブミリ波受信器搭載に向けて重要なプロセスが完了したと言える。 2、345GHz帯受信器の開発 345GHz受信器の2SB化のための、導波管90°ハイブリッド、LOカプラ、LOディバイダを組み込んだ2SBユニットの設計・製作を技術職員や他の大学院生と協力して行った。現在、実験室での性能評価の準備中である。 3、大・小マゼラン雲に対するサブミリ波観測の詳細解析 チリ・アタカマ高地に設置されたASTE望遠鏡を用いた、大・小マゼラン雲に対するサブミリ波観測の詳細解析を行った。昨年度行った一酸化炭素分子の高励起回転遷移輝線(J=3-2)を用いた観測から、「なんてん」で検出された巨大分子雲中に、サイズ10pc程度の「クランプ」が存在しており、それら1つ1つが10^5太陽質量程度の質量を持つことを明らかにした。また、LVG解析によりこれらのクランプの密度・温度を求めたところ、星形成活動の指標となるHII領域や星団の付随するもので温度が高く、付随しないもので低いということを明らかにした。
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