2004 Fiscal Year Annual Research Report
Rac1、Cdc42、IQGAP1によるカドヘリンを介した細胞間接着の制御機構
Project/Area Number |
04J05948
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
則竹 淳 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | IQGAP1 / Rac1 / Cdc42 / カドヘリン / 細胞間接着 / 細胞運動 / 細胞極性 / RNAi |
Research Abstract |
低分子量GTP結合蛋白質のサブファミリーのひとつであるRhoファミリーは、Rac1、Cdc42、Rhoなどから構成されており、細胞増殖因子などの細胞外シグナルの下流で分子スイッチとして機能し、アクチン細胞骨格や細胞接着の制御に重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた。研究代表者の所属する研究室では、Rac1とCdc42の新規標的蛋白質としてIQGAP1を同定し、その機能解析を行なってきた。IQGAP1は遊走している細胞においてはleading edgeに、上皮細胞では細胞間接着部位に局在して、細胞運動や細胞間接着を制御していることを報告している。 IQGAP1は、β-カテニンと直接結合し、E-カドヘリン/カテニン複合体からα-カテニンを解離することにより細胞間接着を負に制御することが報告されている。一方で、活性型Rac1/Cdc42は、IQGAP1の機能を阻害し、種々の標的蛋白質を介してアクチン重合を促進させることにより、細胞間接着を制御すると考えられてきた。最近、哺乳動物において特定遺伝子抑制をするRNAi(RNA interference)の効果が見られるようになった。研究代表者は、RhoファミリーとIQGAP1の細胞間接着の機能を解析する目的で、システマチックにRNAiを行ない細胞間接着への効果を検討した。細胞間接着部位でのIQGAP1の発現量がRNAiにより抑制されると、アクチン、E-カドヘリン、β-カテニンの細胞間接着部位への濃縮が減少することを見出したことから、IQGAP1は細胞間接着を負に制御するだけでなく、正にも制御していることを報告している。また、IQGAP1の発現量がRNAiにより抑制されると、細胞運動能が著しく低下することを見出し、IQGAP1が細胞極性形成においても重要な役割を果たしていることを報告している。
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