2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホソヘリカメムシ類における外界獲得型細菌共生系に関する研究
Project/Area Number |
04J06147
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
菊池 義智 茨城大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 共生細菌 / 細菌 / カメムシ / 共生 / 進化 |
Research Abstract |
本研究は、陸上動物では唯一ホソヘリカメムシ類においてのみ報告されている外界獲得型細菌共生系(母子伝達を伴わず毎世代環境中から共生細菌を獲得する系)を対象とし、1)共生細菌の環境中における存在量、2)カメムシが共生細菌を獲得する経路および3)その時期、4)共生細菌の宿主に対する適応的影響を明らかにし、陸上節足動物における外界獲得型細菌共生系の進化・維持機構の理解を目指している。 2年計画の初年度は、共生細菌の野外分布調査を行うためクモヘリカメムシ、ホソヘリカメムシの寄主植物であるイタリアングラスおよびダイズの葉、種子、根それぞれよりDNAの抽出を進め、特にPCR阻害物質が多く含まれる土壌サンプル(根部位サンプル)についてその抽出法の最適化を行った。診断PCRにより共生細菌が植物根圏に多く生息していることを明らかにし、また定量的PCRによる共生細菌の生息密度推定ついても実験系の構築を試み、予備的データを得た。 共生細菌の安定的な培養系の確立、滅菌土と滅菌種子を用いた無菌苗飼育系の作出に成功し、共生細菌の獲得経路、宿主カメムシに対する適応的影響を明らかにするための見通しを得た。また、野外調査および室内飼育実験の両面より共生細菌獲得時期の特定も行った。その結果、ホソヘリカメムシ類は2齢若虫期に共生細菌を獲得し、4-5齢若虫期に体内で増幅させている可能性が強く示唆された。 得られた結果の一部を論文として発表すると共に、国内外の学会においても発表をおこなった。また本研究で得られた結果を中心とし、申請者は博士学位論文を提出した。
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Research Products
(2 results)