2005 Fiscal Year Annual Research Report
アビダルマ仏教における世親思想の再検討-特に唯識諸論書との関連を通して-
Project/Area Number |
04J06270
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
齋藤 滋 駒澤大学, 仏教学部, 特別研究員
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Keywords | アビダルマ仏教 / 世親 / 我 / 界 / 説一切有部 / パーリ仏教 / 『テーラガーター』 / 根 |
Research Abstract |
本年度は当研究の2年目である。はじめに、「我」および「界」というキーワードに基づき、初期アビダルマ仏教から世親に至るまでのアビダルマ仏教思想の発展を考察した。「我」については、「アビダルマ仏教における「我」の同義語について-部派仏教と大乗仏教-」(日本印度学仏教学会学術大会)・「アビダルマ仏教の霊魂観-言語論を中心として」(日本仏教学会学術大会)という発表を行い、アビダルマ仏教における霊魂観の変遷を明らかにした。一方、「界」については、「アビダルマ仏教の範疇論」(東海印度学仏教学会学術大会)という発表をした。これらについては、「初期アビダルマ仏教における「我」の同義語について」・「アビダルマ仏教における霊魂の存在について」・「アビダルマ仏教思想の展開と法数-部派仏教における十八界と六十二界-」という題目でいずれも学会誌に投稿し、公表されつつある。また、「パーリ仏教における注釈の口頭伝承について-パーラーパリヤとパーラーサリヤ-」を『仏教研究』に公表し、パーリ上座部と説一切有部の伝承の相違にも言及した。さらに、駒澤大学仏教経済研究所例会にて、アビダルマ仏教の「少欲喜足」について発表を行った。加えて、アビダルマ仏教に於ける重要な概念の一つである「根」の起源について、‘On the Concept of the Faculties (Indriya) in the Theragatha-Some Remarks of the Origin of the Faculties (Indriya) in Buddhism'(『V.N.Jha教授記念論集』)を投稿した。最後に、11月上旬にはワシントン大学アジア言語・文学学科(アメリカ・シアトル市)を訪問し、諸先生から研究の助言を得るとともに、カローシュティー写本の研究会に参加した。
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Research Products
(2 results)