2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06407
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
一木 良子 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ヤドリバエ / 捕食寄生者 / 生物的防除 / 寄生バエ / 寄主選択 / 生活史 / 天敵 / 風洞 |
Research Abstract |
捕食寄生性昆虫として知られるヤドリバエは、鱗翅目や半翅目等の農林害虫に広く内部寄生を行う。本研究では、ヤドリバエの生物的防除資材としての有効性を評価するために、その配偶行動および寄主探索機構等の基礎生物学的研究を詳細に行った。 まず配偶行動については、体サイズの個体変異が顕著にみられるブランコヤドリバエについて、交尾した雄の体サイズが、雌の寿命、卵発育、子の生存に与える影響を研究室内で実験的に調べた。その結果、より大きな雄と交尾した雌は、より多くの卵を産み、子の生存率も高まる傾向があることが分かった。このことから、ブランコヤドリバエの雌が交尾の際に雄を選ぶ配偶者選択を行っている可能性が示唆された。ヤドリバエにおいて雌による配偶者選択の存在が明らかになったのは今回が初めてである。 ヤドリバエの寄主探索には、寄主の寄主植物由来の化学物質が重要な行動制御因子として関与しているといわれているが、それを実験的に証明した例は少ない。そこで、寄主であるアワヨトウによって加害された植物、加害時に揮発する9種の化学成分の混合物および寄主の糞に対するブランコヤドリバエの雌の反応を、風洞装置およびY字管を用いて検証した。その結果、ハエ雌は、風洞実験では加害葉と化学成分混合物に誘引され、Y字管実験では加害葉、化学成分混合物および糞に誘引されることが分かった。このことからヤドリバエの雌は、遠くから寄主の生息場所を見つける際には、主に加害植物のニオイを手がかりとし、また寄主の生息場所に到達し、そこで実際に寄主のいる場所を特定する際には、加害植物と糞のニオイを手がかりとしている可能性が示唆された。
|