2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規触媒反応場としての多孔質ファイバーコンポジットの材料設計
Project/Area Number |
04J06768
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深堀 秀史 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 抄紙技術 / ペーパー成型 / 燃料電池 / 水素製造 / メタノール水蒸気改質 / 多孔質構造 |
Research Abstract |
抄紙技術の応用により、無機セラミック繊維から成る多孔質ペーパー構造体内部に、水蒸気改質用触媒粉末を担持した「ペーパー触媒」を調製し、燃料電池用水素製造プロセスに供した。抄紙技術により製造されたペーパー触媒は、通常の紙と同様に高い成型性と二次加工性を有していた。また、粉末状触媒に匹敵する高いメタノール転化率を示し、実用性と高い触媒性能を併せ持った新規触媒材料であることが示された。ペーパー内部の空隙が良好なガス流路となり、触媒周辺の熱・物質輸送が促進されたためと推察される。さらに、固体高分子型燃料電池の触媒毒となるCOの副生が抑制されるという良好な結果が得られており、ペーパー触媒の有する多孔質構造が、メタノール改質反応における良好な反応場となることが明らかとなった。 次に、ペーパー触媒の高性能化を目的として、熱伝導性繊維である炭化ケイ素(SiC)繊維を配合したペーパーを調製した。SiC繊維の配合によってメタノール転化率が向上およびCO濃度が低下した。触媒層内部まで効率的に熱が供給され、ペーパー内部の触媒が有効に機能したためと思われる。また、SiC繊維配合ペーパーでは、COの主生成反応である水性逆シフト反応(H_2+CO_2→CO+H_2O)の抑制が確認された。触媒層の熱分布が均一になり、逆シフト反応が進行しにくい環境が整うことで、CO濃度の減少につながったと考えられる。以上の結果より、ペーパーの空隙構造に加えて、繊維の熱的性質が改質性能に大きく影響することが明らかとなり、これらを制御することで高効率・高純度の水素生産が可能になると思われる。
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