2004 Fiscal Year Annual Research Report
ターゲティング能を有するアデノウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
04J06946
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小泉 直也 昭和薬科大学, 薬学研究科・薬剤学研究室, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / ファイバー / ターゲティング |
Research Abstract |
遺伝子治療の実用化と一層の進展に向けての最大の鍵は、高い安全性を確保し、目的遺伝子を必要な細胞に効率良く導入し、安定に発現させる技術の開発である。申請者はこれらの目標を達成するために、ファイバーミュータントアデノウイルス(Ad)ベクターを開発し、遺伝子治療用ベクターとしてのAdベクターの有効性、安全性の向上を目指した研究を行ってきた。 Adベクターは多くの細胞に効率が良く遺伝子導入可能であること知られており、この広い感染性はAd受容体であるcoxsackievirus and adenovirus receptor(CAR)、αvインテグリン、ヘパラン硫酸が多くの細胞に発現しているためであると考えられる。一方で、目的の細胞にのみ遺伝子導入可能なターゲティングAdベクターの開発には、CAR、αvインテグリン、ヘパラン硫酸と結合しないAdベクターを開発し、目的の細胞にのみ結合する機能を付与することが必要である。そのため申請者は組織・細胞ターゲティングを目指したAdベクターの開発のために、ファイバーノブやペントンベースに変異を導入し、CARとαvインテグリンと結合せず、ファイバーシャフト部分をAd5型由来から35型由来に変更したトリプルミュータントAdベクターを作製した(Ad35型のファイバーシャフトはAd5型のファイバーシャフトに存在するヘパラン硫酸との結合モチーフを持たない)。3つの受容体(CAR、αvインテグリン、ヘパラン硫酸)との結合性をなくしたAdベクターはマウス静脈内投与後、通常のAdベクターの集積が知られている肝臓での遺伝子発現を1/30000まで低下させ(他の組織での遺伝子発現も大幅に減少)、ターゲティング能を有したAdベクター開発のための基盤ベクターの開発に成功した。
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