2004 Fiscal Year Annual Research Report
新生児期における生殖幹細胞の分化制御機構に関与する分子の機能解析
Project/Area Number |
04J07420
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大村 昌子 横浜市立大学, 大学院・医学研究科微細形態学講座, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生殖幹細胞 / 精子形成 / タイトジャンクション |
Research Abstract |
生殖幹細胞および体性幹細胞は、自己複製能と高い増殖能を持つ点で、共通な特性を有する。そこで、幹細胞の維持機構に関与する分子を同定する目的で、造血幹細胞および新生児期の生殖幹細胞をモデルとし、分子の同定を行った。現在までに、二つの幹細胞システムに共通して発現が認められるタイトジャンクション構成分子であるJAM4をクローニングし、機能解析を進めている。 幹細胞における発現を確認するために生殖幹細胞と造血幹細胞の細胞集団を回収しRT-PCRにより発現パターンの解析を行った。生殖細胞の純化は、ES細胞および生殖細胞特異的遺伝子であるOct3/4の転写調節領域を利用したGFP発現遺伝子導入マウスを用いて回収した。JAM4はGFP陽性/c-kit陰性の未分化な生殖細胞集団に高い発現が認められ、GFP陽性/c-kit陽性の分化した生殖細胞集団で弱い発現が認められた。また造血系での発現は、c-kit陽性/Sca1陽性/lineage marker陰性の造血幹細胞に高い発現が認められ、分化した血液細胞には発現が認められない。 次に、組織における局在を明らかにするため、ポリクローナル抗体を作製し免疫染色法により局在解析を行った。出生直後の精巣組織において、生殖細胞と支持細胞の細胞膜にシグナルが認められた。また、生後10日齢では、タイトジャンクションのマーカー分子であるZO-1と二重染色を行うことにより同じ局在を示すことが観察された。成体の精巣において、生殖細胞での発現は認められない。また、抗原によりこのシグナルが吸収されることから免疫染色で認められたシグナルは抗原特異的なシグナルであると考えられる。 以上の結果より、JAM4は、生殖細胞の発生段階において、特に新生児時期の未分化な生殖細胞-支持細胞間の接着機構に関与することが推察される。
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Research Products
(2 results)