2005 Fiscal Year Annual Research Report
誰にとっての組織的公平か?:集合的公平知覚の概念化と多水準モデルの検証
Project/Area Number |
04J07478
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 洋一郎 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 手続き的公正 / 対人的公正 / 多水準モデル |
Research Abstract |
1 質問紙調査の分析と仮説の検証 本年度は、国内の自動車部品メーカーを対象とした質問紙調査を実施し、466名から回答を得た。採取されたデータは、構造方程式モデリングを用いて分析された。分析から得られた知見は、以下の3点に要約される。第一に、公正知覚の源泉(上司と組織)とタイプ(手続き的公正と相互作用的公正)をクロスさせて多焦点公正の構成概念妥当性が証明された。これは我が国の従業員も北米の従業員と同様に手続き的公正と相互作用的公正を区別する事実を示す結果であり、公正さの区別が文化に関わらず普遍的である可能性が示唆された。第二に、上司に関連した公正さが個人と上司の交換関係の強化に寄与し、組織に関連した公正さは個人と組織の交換関係を強めることが明らかにされた。具体的に述べると、a)個人と組織の交換関係は、対上司と対組織という2水準から構成される、b)そしてこの2水準が、上司関連公正と組織関連公正にそれぞれ対応しているという2点が証明された。第三に、公正さに対する関心が強い個人ほど、組織に対する態度や行動を決定する際に組織内の公正さを重視するという結果が得られた。ここから、公正に対する関心の度合いに個人差が存在し、これが個人の意思決定に影響を及ぼすことが示唆される。これらの知見は、第21回のアメリカ産業組織心理学会にて発表される予定である。 2 今後の研究計画について 平成18年の4月から5月にかけて新たな調査を実施する予定である。この調査は、回答者の所属するするグループ(課)を正確に測定することによって、集団レベルの公正さを的確に捉えることが期待される。こうした多水準を分析するに当たって、階層線型モデルが用いられる予定である。また、ポリシー・キャプチャリング法を用いて、意思決定方略に集団間の系統差があるかどうかについても検証する予定である。
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