2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッドカーボンナノチューブの創製と量子ナノデバイス応用
Project/Area Number |
04J07644
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生野 孝 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ハイブリッド構造 / 量子ナノデバイス / 機能化 / 被膜 / サーモスタット / NEMS |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)は独特の物理的・化学的特性をもつため多方面の分野から注目を集めている。特に、次世代電子デバイスの分野では、電界効果トランジスタ(FET)、単電子トランジスタ(SET)、生化学ナノプローブ、高感度ガスセンサー、ナノ配線など種々の応用が期待され実現に向かっている。このようなデバイス応用にCNTを用いる際、異種材料との複合化が重要な点である。すなわち、異種材料と組み合わせることにより、CNT独自の特性を引き出すことが可能となる。複合化の形態として、本研究では、CNT表面に異種材料を同軸状に被膜した構造に注目し、その創製とデバイス応用を目的とした。 本年度は、昨年度に開発したパルス蒸着装置(PLD)を用いることにより、種々の異種材料をCNTへ同軸状被膜することを可能にした。材料によって、表面形態と結晶性が異なっていた。酸化物は一般的にはウェッティング層を形成し、金の場合、結晶化したナノ粒子が被膜していた。このような結果はCNTと異種材料との界面エネルギーの違いによるものであると推測される。さらに、CNT上に絶縁体、金属、絶縁体を順に被膜することで、多層被膜構造を作成した。この構造はサイズが約20nmの同軸ケーブルと同様の構造をもっており、将来的に耐ノイズ環境用ナノ配線に応用できる可能性がある。また、二種類の異種材料がCNTをサンドイッチした構造を構築した。酸化アルミと酸化タングステンをCNTへ蒸着しサンドイッチ構造を作成した。膜厚は同軸被膜と同様にナノメーターオーダーで制御できた。そしてサンドイッチ構造を加熱することで機械的な変位を調べたところ、元々直線状だったナノチューブが、加熱すると湾曲していき冷却すると直線状に戻った。つまり、ナノサイズのサーモスタットを実現できた。この構造はナノ電子機械システム(NEMS)の要素として応用できる可能性がある。
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Research Products
(8 results)