2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞分化・増殖・肥大化に関わる細胞接着機構と分泌因子の生理病態的意義の解明
Project/Area Number |
04J07849
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福原 淳範 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ビスファチン / 脂肪細胞 / インスリン受容体 |
Research Abstract |
当研究室にて同定されたアディポサイトカインであるビスファチンは脂肪細胞の分化誘導作用をもつことから、シグナル伝達機構を解析した。ビスファチン蛋白を培養3T3-L1細胞へ添加し、チロシンリン酸化される既知の蛋白を検索した。すなわちJAK、STAT、インスリン受容体、IGFI受容体、成長ホルモン受容体、Gp130、LIF受容体、VEGF受容体、IRS-1、IRS-2、STAT1、STAT3、STAT5のリン酸化レベルを測定した。その結果インスリン受容体、IRS-1、IRS-2がリン酸化されることを見出した。さらにL6細胞、H4II細胞、初代培養脂肪細胞でも同様にインスリン受容体下流の経路の活性化、リン酸化が見られた。次に精製したビスファチン蛋白をヨード標識し、HEK293細胞への結合を確認し、さらに、HEK293細胞へインスリン受容体を過剰発現することで、ビスファチン蛋白の結合が増加することを見出した。HEK293細胞に発現させたインスリン受容体を免疫精製し、ビスファチン蛋白との結合を調べたところ、インスリン受容体とビスファチンは直接結合することがわかった。 ビスファチン蛋白を各種細胞に添加し、生理作用を調べた。インスリンに反応して糖取り込みが上昇する3T3-L1細胞、L6細胞、糖新生が抑制されるH4II細胞に対してビスファチンを添加したところ、3T3-L1細胞、L6細胞で糖取り込みの上昇が、H4II細胞で糖新生の抑制が見られた。 この時ビスファチンの作用は用量依存的であり、インスリンとほぼ同程度の力価を示した。生体内でのビスファチン作用を明らかにするためにc57コントロールマウス、KKAy(二型糖尿病モデルマウス、STZ処理したc57マウス(一型糖尿病マウス)に対してビスファチン蛋白を静脈注射したところ、血糖低卞作用を認めた。以上のことからビスファチンはインスリン受容体リガンドとして作用し、脂肪細胞分化誘導作用、血糖低下作用を示すことが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)