2004 Fiscal Year Annual Research Report
単一単層カーボンナノチューブの電子状態の構造依存性を利用した選択分別
Project/Area Number |
04J08134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡崎 健一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / 光誘起金属析出 / 近赤外顕微ラマン分光 / フェルミ準位 / 還元電位 |
Research Abstract |
単一単層カーボンナノチューブ(SWNT)は次世代のナノ電子デバイス材料として利用が期待される物質である。しかし高エネルギープロセスで合成されるため直径分布を有するチューブ群として生成する。また申請者がこれまでに明らかにしたように、個々のSWNTはそのカイラリティと直径に依存して、異なる電子構造・電気化学ポテンシャルを有する。ナノデバイスなどの構造と物性の制御、高効率・高感度化を図る場合、個々の単一カイラリティを有するSWNTを選択的に分離し用いる必要がある。 本研究では、個々のSWNTの電子構造に依存した光吸収特性の違いに着目し、種々の金属イオン、犠牲的電子ドナー(メタノール)を含むSWNT高分散溶液に単色光照射を行い、特定の電子構造、すなわち特定のカイラリティを有するSWNTの選択的な光励起に基づく分別を行った。波長785nmの単色光照射後、溶液を遠心分離することにより、高いカイラリティ選択性を有するSWNTの分別を可能にした。Fe^<2+>共存下では、カイラル数(10,3)に帰属される直径0.92nmの半導体性SWNTを高い選択性で分別回収することに成功し、またMn^<2+>を含む溶液中では半導体性(9,7)SWNT(1.10nm)を比較的高い選択性で得た。原子間力顕微鏡観察より、反応後のチューブには数十ナノメートルの大きさの析出物が確認された。これはSWNTへの単色光照射による光誘起金属析出反応により生じたものと考えられ、選択性は金属イオンの還元電位に依存すると推定される。また波長514.5nmの単色光照射の場合は、785nm照射の場合とは異なる選択性を確認した。このように照射単色光波長、金属イオン種を最適化することで、高い選択性で特定カイラリティのSWNTが得られることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)