2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08321
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森下 昌紀 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 液中窒素濃度の測定 / 過飽和度の定量化 / 窒素溶解の促進 / 低転位 / 大面積 |
Research Abstract |
GaN系半導体デバイスは、発光ダイオード、レーザーダイオード、高周波・パワーデバイスなどに応用が期待されているが、デバイス中の転位が問題となってデバイス特性の向上が妨げられている。転位発生の主な原因は、異種基板上へのデバイス作成による格子不整合や熱歪みである。低転位のデバイスを実現するには格子整合するGaNの基板が必要であるので、低転位大型GaN単結晶の育成が非常に重要となる。 私は、Naフラックス法を用いることで低転位かつ大面積のGaN単結晶が育成できる可能性を見出した。しかし実用化するためには、成長速度が遅い、窒素欠陥によって結晶が黒く着色する、などの問題を解決する必要があった。これらの問題点の解決に向けて、Naフラックス法によるGaNの育成メカニズムを明らかにすることが重要である。私は、実際にNaフラックス法における窒素溶解度やGaN育成に必要な窒素濃度を求めることによって、GaNの育成メカニズムを明らかにした。これによって育成時の過飽和度や液中窒素濃度の定量化に成功し、温度、圧力がGaNの育成に与える影響、Naの効果などが解明された。 私はNaフラックス法にLiやCaを添加することで成長速度が増加し、透明結晶が容易に得られることを以前報告した。LiやCaを添加した系についても液中の窒素濃度やGaNの育成に必要な窒素濃度を調査することで、LiやCaの添加効果を明らかにした。高い還元力を持つNaによって窒素が還元され、還元された窒素がLiやCaと容易に結びつくため、液中に大量に窒素が溶解することがわかった。これによって成長速度が増加し、窒素欠陥も補われて透明結晶が容易に得られるようになったと考えられる。
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