2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08321
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森下 昌紀 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 準安定領域の広がり / 不均一核発生の抑制 / 炭素添加 / 熱対流による溶液攪拌 / 不純物混入防止 / 大型結晶 / 低転位 |
Research Abstract |
GaN系半導体は蛍光灯に替わる白色発光デバイスや次世代電子デバイスへの応用が期待されているが、デバイス中に残存する多くの転位がデバイス特性を悪化させている。転位低減のためには、低転位GaN基板上にデバイス作成する必要があり、低転位大型GaN単結晶の実現が望まれている。 私は、Naフラックス法を用いたGaN単結晶育成にLPE成長技術を応用することで、基板サイズの単結晶を得ることに成功し、得られた結晶の転位密度が下地に比べて数桁低い値であることを確認した。Naフラックス法の実用化に向けて、2インチサイズのGaN基板育成技術の確立が必須であるが、(1)基板以外での多結晶成長によってLPE成長速度が低下する、(2)転位密度の面内分布が激しい、(3)再現性が悪い、などの問題が残されていた。 (1)については、基板以外での多結晶成長が起こらずLPE成長のみが起こる条件と温度と圧力の関係を調査した。その結果、育成温度が高いほど基板以外での多結晶成長を抑制しながら高いLPE成長速度を維持できることが明らかになった。また、Naに炭素を微量添加することで基板以外での多結晶成長が劇的に抑制できることを発見した。 (2)については、溶液の上部と下部で温度差をつけ、熱対流を起こすことで溶液を攪拌させることを試みた。その結果、結晶の表面平坦性が劇的に改善され、成長速度を増加させることにも成功した。 (3)については、不純物の混入防止を徹底することで改善できると考え、炉の構造を改善した。新育成炉の開発によって再現性は飛躍的に向上した。 以上で述べたように(1)〜(3)の問題はほぼ解決され、2インチサイズで厚さが約2mm(成長速度20μm/h)の結晶が再現良く得られるようになった。得られた結晶の転位密度は、多少の面内分布はあるものの、平均して10の5乗前半の値を示しており、市販のGaN基板に比べて約1桁低い値であることがわかった。
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