2005 Fiscal Year Annual Research Report
光合成部分反応の温度依存性解析に基づく葉の光合成系温度馴化メカニズムの研究
Project/Area Number |
04J08423
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢守 航 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1) (90638363)
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Keywords | 光合成 / 温度馴化 / Rubisco |
Research Abstract |
カルボキシレーション反応の温度依存性の変化が、光合成の最適温度の変化に大きく関与する可能性が出てきた。そこで、本研究では、低温と高温で栽培したホウレンソウ葉(LT-leaf、HT-leaf)を用いて、in vivo RuBPカルボキシレーション速度の主な決定要因である、Rubisco活性化率とin vitro Rubisco kineticsについて解析を行った。 光飽和・大気CO_2濃度(360μLL^<-1>)において、光合成速度とRubisco活性化率の温度依存性を測定した。LT-leaf、HT-leafともに、光合成の最適温度以上の温度において、Rubisco活性化率が減少した。一方で、低温側では、Rubisco活性化率は減少しなかった。LT-leaf、HT-leafからRubiscoを精製し(LT-Rubisco、HT-Rubisco)、Rubisco特性の温度依存性を比較した。LT-RubiscoとHT-Rubiscoにおいて、Rubiscoのカルボキシレーション反応/オキシゲネーション反応の活性比(specificity factor)と最大活性(V_<cmax>)の温度依存性は共に異なっていた。LT-Rubiscoは低温側で、HT-Rubiscoは高温側で効率良くカルボキシレーション反応を行っていた。Rubisco活性化率とRubisco kineticsを考慮に入れて見積もった光合成速度は、LT-leaf、HT-leafともに、実際に測定した光合成速度の温度依存性とよく一致した。本研究の結果から、ガス交換解析から示された、栽培温度の違いによるin vivo RuBPカルボキシレーション速度の変化は、少なくとも、Rubisco活性化率とin vitro Rubisco kineticsの変化に起因すると考えられた。
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Research Products
(1 results)