2004 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞再構成実験系を用いたRab3A系によるシナプス小胞形成機構の解明
Project/Area Number |
04J08452
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 威 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Rab / 神経伝達 / シナプス小胞 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
シナプス小胞は、神経終末のエンドソームとシナプス形質膜から形成されると考えられている。そこでラット脳組織からシナプス小胞の供与膜であるそれぞれの膜画分を単離し、神経の細胞質画分とATP, GTPを加えて加温することで反応させた。その結果、シナプス形質膜からシナプス小胞のマーカーであるシナプトフィジンおよび小胞輸送に関わる低分子量G蛋白質Rab3A陽性の小胞の形成が認められた。また、同時にシナプス小胞以外のエンドサイトーシス小胞、特に神経終末に存在する細胞間接着分子カドヘリン陽性のエンドサイトーシス小胞も形成されることが分かった。シナプス小胞の形成機構を解析するには、シナプス小胞とエンドサイトーシス小胞の形成を区別する必要があると思われた。 そこで、まずカドヘリンのエンドサイトーシス小胞の形成機構をしらべた。カドヘリンのエンドサイトーシス小胞の供与膜(シナプス小胞供与膜ではない)であるラット肝臓のアドヘレンスジャンクション画分を単離した。その画分に神経の細胞質画分とATP, GTPを加えて加温することで反応させ、カドヘリン陽性のエンドサイトーシス小胞を形成させて、エンドサイトーシス小胞の形成機構を解析した。その結果、カドヘリンのエンドサイトーシス小胞は、低分子量G蛋白質Rac, Cdc42およびその両方に結合する蛋白質IQGAP1がアクチン細胞骨格を介して制御していることが分かった。この制御機構がシナプス小胞形成と共通であるかどうか調べたが、カドヘリンエンドサイトーシス小胞形成の制御因子によるシナプス小胞形成への影響は認められなかった。一方、シナプス小胞形成の制御因子であるRab3Aもカドヘリンのエンドサイトーシス小胞形成には影響を与えなかった。 以上のことから、エンドサイトーシス小胞形成の分子機構とシナプス小胞形成の分子機構は異なることが分かった。
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