2005 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞再構成実験系を用いたRab3A系によるシナプス小胞形成機構の解明
Project/Area Number |
04J08452
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 威 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シナプス / シナプス小胞 / エキソサイトーシス / SNARE / Rab3 / シンタキシン / トモシン / PKA |
Research Abstract |
神経回路網において、シナプスを介した神経細胞間の情報伝達が脳の高次機能に関与している。この神経細胞間の情報伝達は神経伝達物質の放出により行われているが、神経細胞内で神経伝達物質を運ぶシナプス小胞の形成機構についてはほとんど明らかにされていない。 私共のこれまでの研究により、シナプス小胞を前シナプス膜に運ぶ役割を担っている低分子量Gタンパク質Rab3の活性化因子Rab3-GEFがシナプス小胞のサイズの決定に関係していることが分かっている。私共は、Rab3系はシナプス小胞が前シナプス膜に運ばれた後に神経伝達物質を放出する過程(エキソサイトーシス)にも関わっており、エキソサイトーシスの機構の違いによってシナプス小胞の形成機構が違うのではないかと考え、エキソサイトーシスについて解析を行った。 エキソサイトーシスはSNAREと呼ばれるタンパク質複合体によって制御されている。Rab3もSNAREに結合することが知られている。私共は、SNAREに結合し、エキソサイトーシスを制御するタンパク質トモシンがRab3関係しており、エキソサイトーシスのコントロールにおいて重要ではないかと考え、トモシンについて詳細な解析を行った。その結果、以下の成果を得た。 1.トモシンはSNARE複合体の構成タンパク質の一つであるシンタキシンに結合することでエキソサイトーシスを抑制する。 2.トモシンは神経細胞内のcAMP濃度が上昇し、PKAが活性化されるとPKAによってリン酸化されシンタキシンから外れる。それによってエキソサイトーシスが促進される。 以上の結果からRab3系とエキソサイトーシスとの関連を詳細に解析し、SNARE制御のタンパク質トモシンにより神経伝達物質放出がコントロールされていることを明らかにした。
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