2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経系類似の情報処理を目指した非線形電気化学振動子集団の機能化
Project/Area Number |
04J08645
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
宮北 康之 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非線形 / 電気化学 / 周期振動 / 同期 / 不導体皮膜 / 不導体皮膜 / 神経回路網 / 集団挙動 |
Research Abstract |
非線形電気化学振動子を複数、同一の電解溶液中で駆動すると、それらは溶液中に広がる電位勾配により相互作用し、様々な同期現象を発現させる。連成振動子ネットワークにおいて、生み出される集団的同期パターンが時間に対して繰り返す安定状態である場合、その安定なパターンそのものが系に蓄えられた記憶であると見なせる。このとき外部刺激により安定状態間を自由に行き来させることができれば、これを記憶の書き換えとなる。また、非線形電気化学反応として、硫酸溶液中の鉄のアノード腐食反応を利用すると、振動性の起源である鉄酸化皮膜はN型半導体であることから、特定の振動子へのレーザー光照射を外部入力とすることができる。平成16年度では、振動子の集団的同期パターンと振動子間の結合との間の相関を実験的に明らかにすると共に、連成電気化学振動子の縮約モデルを用い理論との一致を確かめた。さらに、特定の振動子にレーザー光照射による摂動を与え、ネットワークとしての応答性を実験的に明らかにした。連成電気化学振動子ネットワークの振動子間の相互作用は、電極の配置を変化させることにより、興奮性や抑制性と結合の様式を変化させることができる。例えば相互に抑制性の結合で結ばれた振動子ネットワークでは個々の振動子は位相をずらしながら振動する。このとき振動子ネットワークは複数の位相関係を安定な同期状態として持ち(多重安定性)、これらの同期状態間は外部刺激、実際には電極へのレーザーパルスの照射、によって移し変えることことができた。つまりこのネットワークではレーザー照射を入力として、情報は連成振動子の生み出す時空間パターンとして符号化され保存されることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)