2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08800
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 利昭 北海道大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ドイツ / 中世後期・近世 / 犯罪史 / 刑事法史 / 公的刑法の成立 / 紛争解決 / 社会的規律化 |
Research Abstract |
1.ドイツにおける中世後期・近世の犯罪史研究に関する近年の動向を、国家の視点および社会=共同体の視点から整理した。 2.あわせてドイツにおける1990年代の刑事法史研究を主導し、かつ犯罪史研究との密接な関わりにおいて進められた大規模研究プロジェクト「公的刑法の成立」に関わる成果を整理した。 3.さらに過去30年にわたってドイツ中世後期・近世研究に大きな影響を与えてきた「社会的規律化」論と犯罪史研究および刑事法史との関わりを整理した。 1の成果として、ドイツにおける近年の諸研究は、従来の法制度中心の研究視座から当事者中心のそれへと研究視座の転換を図り、当事者の主体的紛争解決能力に着目していることが明らかとなった。 2の成果として、研究プロジェクト「公的刑法の成立」の諸研究が、ドイツにおいては従来考えられていたよりも遅く、ようやく16世紀末になってはじめて、国家の訴追権および刑罰権を貫徹する機会が増大したことを明らかにしていく過程を敷衍した。 3の成果として、犯罪史研究は全体として「社会的規律化」論に関して懐疑的であるのに対して、近年の刑事法史・ポリツァイ研究は、このような懐疑を論駁することによって、社会的規律化の多様な理解の可能性を拓いたことを明らかにした。 以上の成果を、研究動向論文「中世後期・近世ドイツの歴史犯罪研究と「公的刑法の成立」-近年の動向から-」にまとめ、『史学雑誌』に投稿し、すでに掲載されることが決定している。
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Research Products
(1 results)