2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J09129
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 卓弥 北海道大学, 大学院農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 難消化性糖類 / カルシウム / タイトジャンクション / di-fructose anhydride III / Caco-2 / 水和特性 |
Research Abstract |
先年度の研究において、一部の難消化性糖類が小腸上皮細胞Caco-2の刷子縁膜と相互作用し、タイトジャンクション(TJ)経路のカルシウム(Ca)吸収を高めることを示した。そこで本年度は、(1)難消化性二糖類DFAIIIによるTJ分子の変化を解析すること、(2)種々の難消化性糖類の作用強度とそれらの持つ構造・水和特性を評価し、難消化性糖類による作用を発現させる要因を特定すること、を目的とした。 TJ分子(Occludin, ZO-1,Claudin-1,JAM-1)およびActin filamentの解析は、免疫組織学的手法により実施した。これらの分子を染色後、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察したところ、DFAIIIがClaudin-1とActin filamentの変化を引き起こすことが示された。 一方、難消化性糖類の水和特性の評価は、NMRを用いた水分子の^<17>O-T_1緩和時間を指標とした。TER低下作用と水分子の運動性を表す^<17>O-T_1緩和時間との間に正の相関関係が認められ、難消化性少糖類によるTER低下作用には、それらの水和特性が重要な要因の1つであることが推測された。 総括すると、難消化性糖類はTJ分子に変化を引き起こし、また、強い水和特性を持つ難消化性糖類により強いTJ透過性上昇作用を持つ傾向が認められた。よって、難消化性少糖類は、その水和特性により、Caco-2細胞刷子縁膜、あるいはTJ構成分子周囲の水分子を構造化し、脂質分子やTJ構成タンパク質に質的変化を引き起こし、この作用がTJ経路のCa吸収を高める要因の1つであることが提案された。詳細な、あるいはその他の作用機序については、さらなる研究が必要である。
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