2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J09154
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
好井 健太朗 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フラビウイルス / レプリコン / パッケージング |
Research Abstract |
ウイルスの複製機構の解析において、ウイルスのゲノムより一部または全部の構造蛋白をコードする領域を欠損させることによりゲノムの複製等に関わる要因のみを保持させたレプリコンが近年フラビウイルスを含む様々なウイルスにおいて構築されてきている。レプリコンは細胞内において自己の複製は起こるが、構造蛋白が産生されないため、ゲノムのパッケージングが起こらず感染性のある粒子が放出されないため、ウイルスの複製機構の研究において有用な系として扱われている。 本研究においてダニ媒介性フラビウイルスであるダニ媒介性脳炎(TBE)ウイルスのレプリコンを北海道分離株Oshima株の感染性cDNAクローンを用いて構築し、さらにレプリコンの3末非翻訳領域に外来遺伝子を挿入することによりレプリコン導入細胞において発現させることに成功した。またウイルスの構造蛋白を発現するプラスミドをレプリコン導入細胞にトランスフェクトすることにより、ウイルス構造蛋白を相補的に発現させることによって、レプリコンをパッケージングした粒子を分泌する系を構築した。分泌した粒子は一度のみの感染性を有しており、相補的に発現させた構造蛋白のmRNAとのrecombinationも起こしておらず、安全性にも優れていることが示された。さらにこの系を用いて、外来遺伝子発現ベクターとしての応用も可能だった。このレプリコン系は、TBEVのゲノムの複製およびパッケージング機構を解析していくうえでの基礎資料となるほか、新たな診断法およびワクチン開発への応用を期待できる。
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