2005 Fiscal Year Annual Research Report
緑色光合成細菌のアンテナ複合体クロロゾームの構造と励起状態のダイナミクスの解明
Project/Area Number |
04J09376
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
柿谷 吉則 関西学院大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光合成 / クロロゾーム / 固体NMR分光 / 電子吸収 / 円偏光二色性 / レーザー分光 / 励起状態 / ダイナミクス |
Research Abstract |
ロッドエレメントの構造解明2:再構成クロロゾームを用いた解析 高速レーザー分光によるクロロゾームの励起状態のメカニズムの解明 プロジェクトは極めて順調に進んでいる。今年度の目標は充分達成出来たと考えている。 本プロジェクトの最大の課題は、「クロロゾームを如何に再構成するか」であり、この点が成功に導かれるかどうかの鍵を握っている。過去にもクロロゾーム様高次会合体の調製方法は報告されているが、どれも充分とは言えず、再構成が如何に難しいかを客観的に示している。再構成の評価に関しては、一般的な電子吸収スペクトルのみならず、円偏光二色性スペクトル,粉末X線回折,動的光散乱や膜電位測定を用いて、統一的な視点から行った。様々な調製条件を試した結果、比較的再現性がよく、条件に合った会合体の調製に成功した。この方法はスケールが小さいので、必要量を得るために何度も調製する必要があるものの、クロロゾームと極めて近いキャラクターを持ったクロロゾーム様高次会合体であると考えている。 そのキャラクタリゼーションの1つとして、近赤外領域のサブピコ秒時間分解吸収スペクトルを測定した。その結果、クロロゾームと同一のスペクトル変化が存在し、励起状態のダイナミクスも再現出来ていることが判った。このことから、調製した高次会合体は、クロロゾームと同様の機能を有したものであることが証明され、ほぼ「再構成」に成功しているのではないかと考えている。 また、昨年度の成果である固体状態のモデル系BChl c会合体の構造について、学術論文として投稿し、現在査読中であることを申し添える。 次年度はいよいよ固体NMRスペクトルを測定し、その構造について明らかにしたいと考えている。それに伴って必要な^<13>Cラベルした菌体は既に準備が終了している。来年度の間にクロロゾームの構造に対して解答を出せるよう努力したい。
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