2004 Fiscal Year Annual Research Report
現代都市再開発期における公的空間の公共性と文化的実践による空間形成の都市間比較
Project/Area Number |
04J09666
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
田中 研之輔 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 都市空間 / 身体文化 / 都市社会の日常性 / 都市下位文化 / ストリート / 郊外再編 / 社会運動 / 若年労働 |
Research Abstract |
今年度は、現代都市再開発期の公共空間の利用と管理について、主に、(1)都市空間を管理する具体的な諸施策の様相と、(2)公共空間に集う人びとの文化的実践の在り様、の双方を総合的に分析する理論的枠組みの整理と方法論の構築を行った。本年度の研究成果は、以下の5点にまとめることができる。 (1)『年報社会学論集17号』に掲載された論文では、駅前再開発下の駅前広場の利用と管理に着目し、地域住民と広場利用者の若年層との利害折衝の過程について、とくに、若年層の実践を社会運動論的な視座をもとに報告した。 (2)『日本都市社会学年報22号』に報告した論文では、都市空間の管理が強化される過程について、都市不安とリスク回避にともなう監視テクノロジーの導入と、警備員や都市住民による異質性へのまなざしから増幅している様相を、事例をもとに読み解いた。 (3)『関東都市学会年報7号』では、大規模都市再開発下の空間編成の様態について、都市郊外の「外部」で生じている地域再編の過程を論考した。その再編過程は、近年の市町村合併の動向と密接に連動している。空間管理強化の別側面を、この論考では捉えることができた。 (4)「公的空間の公共性」と同程度に本年度の主要研究課題でもある「文化的実践による空間形成」については、東京新宿ストリートでの若年層の文化的実践を日常性という視点から読み解いた。日常性の内実の記述として文化の担い手の労働と文化的活動との関係性を論考した。これらの成果は、3冊の論文集において、それぞれ報告している。 (5)上記(1)〜(4)を踏まえて、現在、都市と身体文化の社会学的考察に関連する先行蓄積を、とくに、都市空間論と身体文化論から整理し、事例分析と先行蓄積の理論枠組みを連接する方法論についての認識論的な検討を行っている。ここでの理論的検討は、都市社会学、文化研究、文化人類学、空間地理学の研究分野に及び、学問領域の横断的な考察を加えている。その成果報告が、来年度の主要研究課題となる。
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