2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J09777
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 知香子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自己集合 / 自己組織化 / 三次元錯体 / パラジウム / 遷移金属 / 中性配位型有機触媒 / 中空構造 / 内部空間 |
Research Abstract |
所属研究室では、有機多座配位子と遷移金属イオンから、さまざまな三次元中空構造が自己集合することを報告している。本研究では、さらに高分子量の錯体を、効率よく構築するための新しい方法論の開発を目的としている。また、開発した方法論を用いて、新たに自己組織化した錯体内の特異な内部空間を反応場として利用し、高効率的、高選択的な物質変換反応および触媒反応を実現する。これまでに構築された錯体の多くは、生成物の熱力学的安定性に依存した自己組織化を利用するもので、これらを活用できない場合では、合成は困難を極める場合が多く、例えば、速度論的支配の高選択的反応を駆使しての高効率的な分子集合体の合成例は少ない。 多官能基化された目的とする化合物を効率よく合成するために金属などの取り込みや混入を回避することができる中性配位型有機触媒を駆使し、穏やかな条件下での、炭素-炭素、炭素-窒素、炭素-酸素結合などの形成を行っている。さらに、ランタンをはじめとする希土類金属イオンなどの多配位型の金属を用い、反応させたい複数の分子を一度に配位させ、その後に一挙に多分子構造を構築する手法の開発に取り組んでいる。三次元錯体の機能発現のためには、水素結合、静電的、疎水的相互作用、電荷移動型相互作用など、分子間の弱い相互作用の制御が重要となる。構成分子の官能基が重要な役割を果たすが、目的とする官能基を望みの位置に立体選択的に導入でき、導入した官能基は、変換でなるべく保護基などを用いることなく、保たれるような反応の開発、合成の設計を行っている。
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