2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J09777
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 知香子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ルイス酸 / 界面活性剤 / 水 / ミセル / 開環反応 / ヒドロキシメチル化 |
Research Abstract |
ルイス酸-界面活性剤一体型触媒(Lewis Acid-Surfactant Combined Catalyst; LASC)は、水中で疎水場を構築する界面活性剤として機能するだけでなく、アルデヒドやイミンをはじめとする求電子剤を活性化するルイス酸としても機能することが知られている。本触媒を用いる反応は、水-有機溶媒系ではなく、水のみを溶媒とすることが大きな特徴として挙げられる。また水中で形成されるミセル分子は複雑な高次構造を有し、超分子やクラスターとは性質の異なる独自の反応場を構築していることが予測される。従って、LASCを用いる反応の開発は環境調和を指向した反応を達成するだけでなく、有機溶媒中では見られないユニークな反応場を構築する手法の探索に繋がる。さて近年、グリーンケミストリーへの強い関心から、水系溶媒を用いる不斉合成反応が多く報告されている。しかしながら、有機溶媒を全く用いない完全水中での不斉合成を実現するには未だに多くの問題点が残されている。そこで、筆者は、より効率的な反応場を構築することを目的に、種々のルイス酸、および界面活性剤の探索を行った。その結果、ビスマストリフラート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびキラルビピリジンから調製される不斉反応場がメソエポキシドのアミン類による不斉開環反応が円滑に進行し、高い収率およびエナンチオ選択性をもって対応する光学活性β-アミノアルコール類を与えることを見出した。一方、ホルムアルデヒト水溶液とβ-ケトエステルとの直接的ヒドロキシメチル化反応の検討も行った。その結果、硝酸鉄とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムから調製される反応場において反応が円滑に進行し、対応とするヒドロキシメチル化体を高収率で得ることが出来た。現在、本反応の不斉反応への展開を行っている。
|
Research Products
(6 results)