2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本に見る宗教の位相と宗教者達の自己定位との相互変容
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04J09930
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星野 靖二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD) (50453551)
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Keywords | 宗教史 / 宗教学 / 日本 / 宗教概念 / キリスト教史 / 仏教史 / 明治時代 / 思想史 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としては、まず明治前半期における仏教メディアに着目し、仏教結社によって遂行された演説会との関わりから『明教新誌』等の活字メディアを読み進めた。該時期の仏教の活動については、従来キリスト教に対する対抗という視点から取り上げられてきたが、仏教を独立した宗教伝統として改革・再構築していく契機がこの時期に見られていることを確認することができた。これについては来年以降も引き続き研究を進めていく。 次に日本思想史学会2004年度大会にて「明治十年代における「宗教」論--宗教者による語りを中心に」という発表を行った。これは明治十年代において、キリスト教徒や仏教徒が自らの宗教伝統を弁証するという動機の下に為した言説群が、結果として「宗教」をめぐって議論する「場」を設定しつつあったということについて論じたものである。具体的には高橋吾良による仏教批判と、それに対する仏教徒からの反批判を取り上げ、それらがどのような論点を共有していたのか、また何が食い違っていたのかということについて触れた。 また2005年3月に開催される第19回国際宗教学宗教史会議世界大会にて、"Narrating Shukyo (Religion) in Early Meiji Period"という発表を行った。これは近代的なreligionの翻訳概念としての「宗教」が明治前半期においてどのように語られていたのかということを取り扱ったものであり、大会のサブテーマである「普遍主義的宗教と地域文化」と関連させて、仏教徒のような土着の宗教伝統を奉じる者達がどのように自らの宗教伝統を近代的な「宗教」として再構築していったのかという観点から論じた。
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