2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本に見る宗教の位相と宗教者達の自己定位との相互変容
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04J09930
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星野 靖二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD) (50453551)
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Keywords | 宗教史 / 宗教学 / 日本 / 宗教概念 / キリスト教史 / 仏教史 / 明治時代 / 思想史 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としては、まずハリー・ハルトゥーニアンによる論文Memory, Mourning, and National Morality : Yasukuni Shrine and the Reunion of State and Religion in Postwar Japanを翻訳した(『現代思想』2005.8号に掲載。また磯前順一、タラル・アサド共編『宗教を語り直す』みすず書房(近刊)にも採録)。 次に、2006年3月に東京大学大学院人文社会系研究科に博士学位論文(課程)「近代日本における宗教概念の展開--宗教者の自己理解を中心に」を提出した。これは主に明治期を対象として、「宗教」なる概念がどのように宗教者によって語られてきたのか、そしてまたそれによって個別の宗教伝統がどのようにそうした「宗教」として再帰的に自己規定していくのかについて考察を加えるものであり、法制史や宗教学の成立についての先行研究を参照した上で、近代日本における宗教概念の展開を異なる側面から論じたものである。 同論文とも関連して研究の進展としては、(1)明治初期におけるキリスト教受容における儒教的、あるいは朱子学的な世界観と同時期における自然神学との関わりについて中村敬宇や高橋吾良に即して論じ、また(2)引き続き仏教演説について、特にその演説の内容について調査を進め、更に(3)いわゆる教育と宗教の衝突問題に際して中西牛郎が著した『教育宗教衝突断案』について考察を加えた。
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