2005 Fiscal Year Annual Research Report
胆汁酸によるリポ蛋白質合成・分泌調節機構の分子細胞生物学的解析
Project/Area Number |
04J10319
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橘 静子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | コレステロール / リポタンパク質 / 胆汁酸 / HNF-4α / SHP / LRH-1 / ABCA1 / ABCG5 / G8 |
Research Abstract |
胆汁酸は、胆汁酸およびコレステロール代謝を制御するシグナル分子である。本研究は、肝臓からのコレステロール排出を調節するapolipoprotein B (apoB)含有リポ蛋白質に着目し、apoB含有リポ蛋白質合成・分泌調節機構における胆汁酸の役割について、核内受容体、細胞シグナル伝達機構による制御について分子細胞生物学的手法を用いて解析することを目的としている。さらに、もうひとつの肝臓からのコレステロール排出経路であるATP binding cassette (ABC)トランスポーターを介したコレステロール排出における胆汁酸の役割についても解析する。 1.胆汁酸による核内受容体hepatocyte nuclear factor-4α(HNF-4α)を介したapoBおよびmicrosomal triglyceride transfer protein (MTP)遺伝子発現制御機構およびコレステロール分泌制御 胆汁酸はapoB含有リポ蛋白質の分泌を抑制するが、その制御機構について、胆汁酸がHNF-4α mRNA発現の低下を介して、apoBおよびMTP遺伝子発現を低下させるということを報告したが、HNF-4αの発現量はsmall heterodimer partner (SHP)を介して制御される可能性を示唆した。胆汁酸のSHPの発現および機能に対する影響について、現在、研究中である。 2.胆汁酸によるABCトランスポーターを介したコレステロール排出機構の制御 肝臓からのコレステロール排出にはapoB含有リポたんぱく質を介した経路に加えてABCトランスポーターであるABCA1を介した経路、ABCG5/G8を介した経路が存在し、それらの機能が近年明らかにされつつある。私たちは、ABCG5/G8を介したコレステロール排出経路に着目し、そのモデル細胞としてもうひとつのABCG5/G8発現組織である小腸上皮様に分化させたCaco-2細胞およびABCG5/G8共発現HEK293細胞を用いて、胆汁酸によるABCG5/G8を介したコレステロール排出制御の可能性を示唆し、現在、投稿論文準備中である。
|