2006 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋地域の人類集団における自然選択と人口学的歴史に関する研究
Project/Area Number |
04J10328
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 亮介 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 自然選択 / 連鎖不平衡 / 人類 / 集団 / オセアニア / SNP |
Research Abstract |
1.集団間における遺伝的分化や連鎖不平衡の減衰の違いを指標として、ある集団特異的に自然選択を受けた遺伝子を検出する方法を開発し、コンピューターシミュレーションを用いてその検出力を評価した結果、この方法は非常に検出力の高い優れた方法であることが明らかとなった。また、HapMapプロジェクトによる大規模SNPタイピングデータを解析することにより、アフリカ人、ヨーロッパ人、およびアジア人に特異的な自然選択の痕跡を探索したところ、これまでに自然選択の影響が報告されていた遺伝子のほかに、いくつかの候補遺伝子が見出された。以上の結果を国際誌(PLoS ONE)に掲載した。 2.アフィメトリックス社のGeneChip Mapping 500K Assayを用いて、ポリネシアのトンガ人およびメラネシアのギデラ族において、ゲノムワイドSNPタイピングを行い、アフィメトリックス社が公開するアフリカ人、ヨーロッパ人およびアジア人集団のSNPタイピングデータと併せて様々な解析をおこなった。系統樹解析や集団構造解析の結果、メラネシア人は遺伝的にアジア人に近いこと、ポリネシア人はアジア人(70%)とメラネシア人(30%)を祖先にもつことがわかった。トンガ人やギデラ族において連鎖不平衡の程度の平均値が高かったことは、これらが比較的集団サイズの小さい集団であったことと一致する。これらのオセアニア集団において自然選択の痕跡を探索したところ、複数の候補遺伝子が浮かび上がった。これらの遺伝子の中には、エネルギー代謝関連の遺伝子も含まれており、オセアニアにおける"倹約遺伝子"の候補として期待される。
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