2004 Fiscal Year Annual Research Report
タウリンの動態解析による生体内での新たな役割の解明
Project/Area Number |
04J10351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 健夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タウリン / ミトコンドリア / tRNA / 転写後修飾 |
Research Abstract |
tRNAのウォブル位における転写後修飾は、コドンを正確に認識する上で重要な過程である。ヒトミトコンドリア脳筋症MELAS・MERRFの原因点変異を有するミトコンドリアtRNA^<Leu(UUR)>、tRNA^<Lys>はウォブル位のウリジン修飾が欠損しており、この修飾欠損によりコドン認識能に異常を生じることが発症の原因であることが指摘されている。ヒトミトコンドリアtRNAウォブル位の修飾ウリジン(5-タウリノメチル(-2-チオ)ウリジン)の修飾構造の一部は細胞外タウリンに由来していたことを明らかにしており、タウリン生合成系を持たない哺乳動物(ネコ、キツネなど)に見られるタウリン欠乏を原因とする心筋肥大症は、この修飾ウリジンの生合成系に異常が起こり構造の形成が不完全になることによるミトコンドリア機能異常が関与しているのではないかとの観点から、タウリン欠乏症を起こしたネコのミトコンドリアRNAの解析を行っている。はじめに健常なネコの組織からミトコンドリアtRNAを精製し、液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリーによるヌクレオシドの解析を行い、ヒトと同様に5-タウリノメチル(-2-チオ)ウリジンが存在することを見出した。また、これまでにタウリン欠乏症を発症したネコの組織を得て、組織毎のRNAの抽出を行った。現在、組織毎のタウリンを含めた遊離アミノ酸含有量の測定、ミトコンドリアtRNAの精製、感度の良いタウリン修飾の検出法の検討を進めている。
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