2004 Fiscal Year Annual Research Report
車載センサによる広域三次元空間モデルの構築と文化遺産空間のディジタル化
Project/Area Number |
04J10876
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 晋太郎 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 時空間距離画像 / レンジセンサ / 都市空間 / 高度交通システム / 文化遺産 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は以下の通りである。 (1)時空間距離画像を用いた都市空間の幾何モデル構築として計測車両に2台のラインレンジセンサを取り付け、走行しながら対象の三次元形状計測を行った。1台は水平スキャンにより自己位置を推定し、1台は垂直スキャンにより対象形状を得る。本手法を本学生産技術研究所1階部に適用したところ、走行長170mに対し位置誤差は最大で2m程度であった。この結果はGPSの精度の粗さや公道上では電子地図による補正が可能であることを考えると比較的良好である。 (2)広域都市空間モデルの具体的な運用例としてITSへの応用を考え、他分野の研究者や民間企業の協力を得て「複合現実交通実験空間」の開発を行った。このシステムでは仮想交通空間上の仮想道路壁に実写ベースの任意視点映像を動的に貼り付け、運転を模擬的に体験することが可能である。映像は計測車両で走行しながら9台のカメラにより得られた動画像を加工して利用する。カメラの校正には時空間画像を利用し、設置方向は前方半方位とした。また映像描画時に不要となる道路標識などを抽出し、周囲・前後の画像で内外挿する手法も試みた。 (3)時空間距離画像処理法の文化遺産空間モデル化への応用として梯子型センサの開発を行った。これは(1)と同様の概念であるがセンサを取り付ける移動体を車両ではなく梯子上の移動機構とし、特に狭隘部の多い文化遺産空間に対して最適化させたものである。このシステムをカンボジア・バイヨン寺院内部にて運用したところ他のセンサでは計測困難な領域を計測するのに効力を発揮し、得られた結果もデータ同士あるいは他センサによるデータとの整合性からおおむね良好であることが確認された。
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