2006 Fiscal Year Annual Research Report
系外惑星における生命存在可能性の検討:液体の水を保持できる惑星の条件
Project/Area Number |
04J11372
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱野 景子 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 衝突による大気のはぎ取り / 揮発性元素の供給 / 衝突蒸発雲 / 隕石重爆撃期 / 衝突脱ガス / 惑星表層への水の供給 / 惑星大気量の変遷 / 惑星大気進化 |
Research Abstract |
衝突時に生成した蒸気雲の膨張に伴う大気・蒸気雲の流体学的な振る舞いを二次元軸対称の流体計算を行い調べ,惑星大気の散逸量と揮発性成分の残存量とを様々なパラメータ,特に衝突天体質量・エネルギーや惑星大気圧,について系統的に調べた.その結果得られた各種パラメータとの関係式を元に,適当な衝突フラックスを用いて,隕石重爆撃期の多数の隕石/彗星の衝突が大気の進化に与えた影響を検討した.その結果,惑星の大気量・組成に与えた影響として以下の二つのモードが存在することがわかった:(a)衝突天体の組成に関わらず,元々の惑星大気によって大気量・組成が決定するモード.(b)元々の惑星大気に関わらず,衝突天体の組成のみで大気量・組成が決定するモード. モード(a)では重爆撃期後も惑星大気の組成はその前とほぼ変わらず,大気量の増減も元々の大気量で決定される.一方,モード(b)では大気組成は重爆撃期中に衝突天体中のvolatileによって決定されるため,重爆撃期の前後で大気組成が全く異なる可能性がある.大気量は大気散逸と揮発性元素の供給のバランスによってある一定の大気圧に保たれる. この全く異なる二つのモードのどちらに属するかを支配する重要なパラメータは,隕石重爆撃期の衝突天体の総質量とその組成(特にvolatile量),の二つである.実際に初期の火星について検討したところ,小惑星帯からの隕石や木星領域からの彗星の衝突では衝突フラックスの不確定性の範囲内でどちらのモードにも入りうることがわかった.しかしオールト雲からの彗星による衝突の場合には,衝突速度が非常に高速(5km/s-70km/s)であることによって,彗星自体はほとんど残らず散逸してしまう.その結果,例え残存した彗星全てが惑星大気に供給されてもモード(b)には入れず,重爆撃期直後はそれ以前と比べ組成の変化は生じなかったと推察される.
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