2006 Fiscal Year Annual Research Report
湿地土壌中におけるメタンの挙動と大気への放出メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
04J11631
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
常田 岳志 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メタン / 温室効果ガス / 湿原 / 湿地 / 泥炭 / 気泡 / 噴出 |
Research Abstract |
自然湿地は、二酸化炭素に次いで重要な温室効果ガスであるメタンの最大の放出源であると言われている。しかしメタン放出量の時間変動性についての知見は乏しく、適切な観測頻度・時期に関しても不明な点が多い。 申請者はH.16,17年度の研究で、湿地土壌中でメタンは溶存状態ではなく、主として気泡中にガス態として蓄積されていること、その気泡は気圧低下時に突発的に大気へ放出されうること、を室内実験で観測してきた。本年度は実際のフィールドで集中的なメタン放出量観測を行い、気泡の大気への噴出現象とその引き金となる要因について調べた。その結果、a.メタンの噴出は気圧低下による土壌中の気泡体積の膨張が引き金になって生じること、b.噴出は気圧低下局面では主要な放出経路となりうること、c.噴出の結果、メタンフラックスは数分〜数十分のうちに2オーダー変化しうること、が明らかとなった。この研究成果はGlobal Biogeochemical Cyclesにて発表した(現在印刷中)ほか、招待講演の要請を受けてSoil Science Society of Americaにおいても発表した。 また、湿地からのメタン放出研究のうち、観測の空白時期となっていた「融雪期」におけるメタン放出量観測を2006年4月に行った。その結果、d.冬期の間、地表付近に形成される氷の層にメタンが気泡状態で閉じこめられること、e.融雪期にはそのメタンが一気に大気へ解放・放出されること、を明らかにした。この成果はChemosphereに現在投稿中である。
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Research Products
(2 results)