2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11879
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
朝比奈 雅志 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 組織癒合 / 接ぎ木 / ジベレリン / キュウリ・トマト / シロイヌナズナ / 胚軸・花茎 / 細胞分裂 / 細胞接着 |
Research Abstract |
我々はこれまで、キュウリやトマトの半分に切断された胚軸の癒合過程において、切断後3日目から生じる皮層の細胞分裂に、子葉(葉)からのジベレリン(前駆体)の供給が必須であることを明らかにした。またその際、細胞接着に重要な細胞壁多糖であるペクチンが活発に合成されることも見いだした。これらの発見は、ジベレリンの新規生理作用の発見として極めて重要であるばかりでなく、胚軸の組織癒合過程に生ずる皮層細胞の細胞分裂とペクチンなどの細胞壁多糖の合成と代謝が、葉によって制御されている事を示している。 また、モデル植物であるシロイヌナズナの花茎をマイクロナイフを用いて切断することにより、同様の組織癒合現象が生じることを見いだした。現在、この花茎の組織癒合においても、葉や茎頂が必須であることが示され、本研究を通してホルモン類の組織癒合における関与が明らかになることが期待される。 そこで、シロイヌナズナでゲノム情報および各種リソースが整備されていることを利用し、花茎切断後の癒合部における遺伝子発現をマイクロアレイ法を用いて網羅的に解析を行い、細胞分裂や細胞壁多糖代謝にかかわる多くの遺伝子の発現が大きく変動していることを明らかにした。またそれらには、今までジベレリン応答性であることが示されていた遺伝子も多く含まれていた。これらの研究により、組織癒合過程の分子的理解が飛躍的に進んだとともに、今後、これらの中から注目される遺伝子の変異体やプロモーター::GUS形質転換体を解析してゆくことで、これらの遺伝子の組織癒合における役割が解明されることが期待される。
|