2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J12119
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小島 奉子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サッケード / 運動学習 / 記憶 / 学習促進 / サル |
Research Abstract |
サッケードは、正確に視覚目標をとらえる急速眼球運動で、この正確さは、病気や老化などで一時的に失われても、修復機構が働き回復する。この機構は、サッケード適応と呼ばれ、随意運動学習のモデルとして注目されてきた。昨年度、サッケード適応を繰り返し行うと適応効率が上昇すること、この適応促通は先行する適応の範囲内のみで誘発されることを発見し、適応中に学習痕跡が形成されている可能性を示した。さらに、この学習痕跡はエラーゼロのサッケードを繰り返し行うことにより消去されることも示した。 今年度は、適応促通の空間的特性を調べるために、二種の条件を用いた。一方では、コントロール適応で水平サッケードを適応させ、テスト適応で斜めのサッケードを適応させた(水平適応先行実験、n=11)。もう一方では、コントロール適応で垂直のサッケードを適応させた後、テスト適応で斜めのサッケードを適応させた(垂直適応先行実験、n=11)。テスト適応の水平成分のゲイン変化率は水平適応先行群の方が垂直適応先行群よりも大きく、垂直成分のゲイン変化率は垂直適応先行群の方が大きかった。 このサッケード適応促通の空間的特性をサッケード適応の空間的特性と比較するために、両者の実験でコントロール適応の直後にテスト適応と同じサッケードを記録し、その水平成分、垂直成分を解析した。水平適応先行群では水平成分の、垂直適応先行群では垂直成分のゲインに変化が認められた。以上の結果から、促通効果には方向選択性があり、かつサッケード適応の方向選択性とよく似ていることが示された。この類似性は、サッケード適応とその促通を引き起こす可塑的変化が共通の部位で起こっていることを示唆していると考えられた。 現在は、電気生理学的手法を併せて研究を進めている。
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