2004 Fiscal Year Annual Research Report
表面反応拡散ダイナミクスの微視的機構に関する理論的研究
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04J54171
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷野 哲之 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非平衡開放系 / 反応拡散 / 表面触媒反応 / 振動現象 / パターン形成 / メゾスコピック / 分子動力学法 / モンテカルロ |
Research Abstract |
本研究は、メゾスコピックとミクロスコピックという2つの視点から、金属触媒表面上での吸着分子群の時間的な振動や空間的なパターン形成の起源とそのメカニズムを理論的に明らかにするものである。以下に研究実績の概要を述べる。 まず、Hildebrandらによって導かれたメゾスコピックな確率Fokker-Planck方程式を用いて、単純な素反応過程から構成される実際の表面化学反応系に対応した方程式を解くプログラムを作成することを目標として、本年度はその最も単純な例である1種類の吸着分子に対する反応を伴わない決定論的な偏微分方程式のスペクトル解法によるプログラムを作成し、2次元の被覆率のパターンが現れることを確認した。 また、当初の計画では、大規模な表面系の分子動力学(MD)シミュレーションによってミクロスコピックの視点から時間的な振動や空間的パターン形成等のメゾスコピックな現象を引き起こすトリガーを分子レベルから探る予定であったが、そのような現象は非常にゆっくりと進行し、観測には膨大な粒子数と計算時間を要するので、計画通りに進めることは困難となった。やむを得ず計画の一部を変更して、局所的な系のMDシミュレーションを行って、その結果を基に吸着分子同士の反応、吸着分子の拡散に伴う活性化エネルギー値を計算することにした。さらに、この得られた値をパラメータとして用いた表面系の反応拡散モンテカルロ(MC)シミュレーションを行うことによって、当初の目的であるメゾスコピック現象のトリガーを分子レベルから探ることが可能であると考えた。本年度はその準備段階として、局所的な系のモデルによる活性化エネルギーを求める際に利用する計算手法の選定と、2次元MCシミュレーションのプログラムの作成を行った。
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