1994 Fiscal Year Annual Research Report
貧困化する「女性世帯」への社会福祉援助をめぐる日米比較研究
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05041047
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
中田 照子 愛知県立大学, 文学部・社会福祉学科, 教授 (70086180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 明美 東洋大学, 社会学部, 助教授 (70182235)
杉本 貴代栄 長野県短期大学, 教養学科, 助教授 (20206428)
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Keywords | 母子世帯 / 母子世帯の自立 / 母子世帯の職業教育 / 児童扶養手当 / 生活保護 / AFDC |
Research Abstract |
〔日本調査〕 名古屋市において、母子世帯30ケースの面接を行った。この30ケースのうち、生活保護需給世帯6ケースと児童扶養手当需給世帯18ケースが含まれている。 これまでにもいわれてきたことではあるが、自立的な母子世帯は、母親が高学歴で、専門職の者が多いが、それらのなかでは、夜間保育を利用している者が3ケースある。生活保護需給世帯は、中学校卒の者が多く、労働の内容も、単純作業に従事している。従って、収入の学も低く、名古屋市の「母子・父子世帯生活実態調査報告書」(1993年)の年収200万円以下の者が半数あり、300万円以下まで拡げると、約7割が含まれるという傾向と大きく変わってはいない。しかし、上記調査でも、小学校入学前の子どもの約6割が保育所に通っており、子の育児に関しては、親族の援助はさほど大きくはない。従って、サービス産業に従事する者が増加するなかで、女性の自立にとって、保育所の役割が重要になっている。 〔アメリカ調査〕 デトロイト市・ポンティアック市においてAFDC受給のシングルマザ-33ケースの面接を行った。33ケースのうち、10代で未婚の母になったケースが多く、子どもの父親の多くは失業している。こうしたシングルマザ-に対して、再教育を積極的に行っている。 特に、多面的な職業教育援助は、将来への希望を持たせ、自立への展望となっている様子を知ることができ、日本の母子世帯及び生活保護援助システムへの重要な視点を与えてくれるものであった。とりわけ、コミュニティカレッジの役割は、日本の若い母子世帯の自立を考える上で、示唆に富むものである。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 中田 照子: "女性とヒューマンサービス" 地域福祉研究. 23号(3月予定). (1995)
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[Publications] 杉本 貴代栄: "フェミニズムと地域福祉" 地域福祉研究. 23号(3月予定). (1995)
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[Publications] 杉本 貴代栄: "社会福祉のジェンダー分析-「家族」をめぐる議論から-" 家庭経営学研究. 30号(3月予定). (1995)
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[Publications] 森田 明美: "女性世帯を支える社会福祉的援助調査の枠組みの再検討" 東洋大学社会学部紀要. 32-1. 133-51 (1994)
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[Publications] 森田 明美: "働く母親をめぐる労働環境の変化と変らない子育て責任" 発達. 57号. 59-67 (1994)
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[Publications] 森田 明美: "育児休業の利用実態からみる育児休業制度の課題" 白山社会学研究. 4号. 59-68 (1994)
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[Publications] 中田照子,杉本貴代栄,他: "学んでみたい女性学-女性の歴史・理論生活を知るために-" ミネルヴァ書房, 約200 (1995)
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[Publications] 杉本貴代栄: "おもしろ男女共生の社会学" 学文社, 232 (1994)
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[Publications] 杉本貴代栄: "平成6年度女性問題意識と実態調査報告書" 長野市, 72 (1995)
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[Publications] 森田明美: "現代生活論の課題" 第一書林, 195 (1994)
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[Publications] 中田照子,森田明美,他: "なごや女性白書" 名古屋市市民局, 247 (1994)
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[Publications] 森田明美: "女性の社会進出を支える環境整備と居住地選択意向に及ぼす影響に関する調査" 財団法人社会開発総合研究所, 112 (1994)