1994 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカのヒトとサルからのエイズ関連ウイルスの分離・解析
Project/Area Number |
05041111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (40072946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZEKENG Leopo ヤウンデ大学病院(カメルーン), 講師
井戸 栄治 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (70183176)
三浦 智行 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (40202337)
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Keywords | エイズ / アフリカ / HIV / SIV / カメルーン / 分子疫学 |
Research Abstract |
HIVについては、これまでにHIV-1及びHIV-2がヒトから、SIVがアフリカの数種のサルから分離され、遺伝子解析からその相互関係が明らかにされ、エイズウイルスがアフリカに由来することはほぼ定説となっている。エイズウイルスの起源と進化を理解するには、アフリカにおける調査が不可欠である。昨年度の予備調査に続いて本年度は、中央アフリカのカメルーンにおいて本格的調査を開始することができた。ヤウンデ大学病院を中心に西南の都市部や東南の農村部から約300検体の血液を採取し、リンパ球分離後DNA抽出し、PCR法によりHIVのpol遺伝子領域の一部(約300塩基)を増幅した。このうち30検体余りについてウイルスの遺伝子解析を行うことができ、その結果、カメルーンには最も古い時代に分かれたグループOと呼ばれるものから割と最近になって分かれたグループMタイプまで、さまざまな段階で分かれたHIV-1が混在していることが明らかとなった。また、その詳細な系統解析から、現在アフリカで流行しているタイプや、欧米や日本に蔓延しているタイプがアフリカの中でどのように派生してきたかが読みとれる可能性も出てきた。1例において中央アフリカではじめてHIV-2の遺伝子解析を行うことができ、西アフリカでよく流行しているタイプと同じものであることから、比較的最近入ってきたものと考えられた。さらに、同一の患者からHIV-1も検出されたため重感染していたことが明らかとなった。この他、env領域を比較解析することにより、1例においてpol領域とenv領域の間で組み換えを起こした可能性を示唆する例も見つかった。以上の結果は、今後HIVの起源と進化を解析する上で重要である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hishida,O.,et al.: "Serological survey of HIV-1,HIV-2 and human T-cell leukemia virus type 1 for suspected AIDS cases in Ghana" AIDS. 8. 1257-1261 (1994)
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[Publications] 速水正憲 他。: "HIV-1/2 PAコンビネーションタイプによるHIV-1抗体およびHIV-1抗体の検出" 医学と薬学. 31. 943-951 (1994)
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[Publications] 井戸栄治 他。: "サルのエイズウイルス" からだの科学. 増刊エイズ. 48-54 (1994)
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[Publications] 速水正憲: "HIVはどこからきたか" からだの科学. 増刊エイズ. 54 (1994)
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[Publications] 井戸栄治 他。: "サル免疫不全ウイルスの遺伝子と感染・病原性" タンパク質・核酸・酵素. 39. 1425-1437 (1994)
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[Publications] 速水正憲 他。: "サルから学ぶエイズ〜HIVの起源と病原性" 科学. 62. 452-461 (1994)
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[Publications] Hayami,M.,et al ed.by R.Desrosiers & N.Letvin: "“Survey of Simian Immunodeficiency Virus" in Simian Immunodeficiency Virus (Current Topics in Microbiology and Immunology 188)" Springer-Verlag, 20(241) (1994)