1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05044045
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
廣田 榮治 総合研究大学院大学, 副学長 (30011464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
J.T Hougen Natl. Inst. Standards & Technology, Senior Res
川嶋 良章 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (60131009)
大橋 信喜美 金沢大学, 理学部, 教授 (40019493)
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Keywords | 水酸化アルカリ / 核四極子結合定数 / グリシン / トンネル効果 / メタノール二量体 / 内部運動 |
Research Abstract |
当初計画したMBX4系、MNO3系の分子の回転スペクトルは現在までのところ検出されていない。引続き分光器の状態とこれら分子の生成条件を詳細に検討し、探索を続ける予定である。一方イオン的な結合をもつことが知られているMOH(M=Na,K,Rb,Cs)を取り上げ、その化学結合の詳細を明らかにするために、回転スペクトルから核四極子結合定数を、振動基底状態だけでなく、変角振動励起状態についても決定した。また生体関連分子の中でももっとも重要なものの一つであるグリシンを取上げ、二つの回転異性体について、J=1←0a型遷移、J=2←1b型遷移を観測するとともに、窒素核の核四極子結合定数を決定した。これらのデータはこの分子の関与する水素結合の追究に重要なものである。理論的研究では、メタノールダイマーのトンネル効果によるスペクトル分裂を研究した。まずトンネル効果をあらわに考慮したハミルトニアンを構築し、群論的考察によってK=0準位の分裂に関するハミルトニアン行列のパラメータ表現を定式化した。次いでこれを用いて、K=0←0、R-枝の分裂成分の対称性の帰属を行い、分子パラメータを部分的に決定した。この結果スペクトル分裂をトンネル運動と直接結びつけることができた。すなわちドナーおよびアクセプターのメタノールのそれぞれのメチル基内部回転運動、アクセプターの酸素原子に局在化した孤立電子対の交換を伴う運動、およびドナー、アクセプターの交換のそれぞれによるスペクトル分裂を定量的にえり分けることを可能にした。これらの成果は、メタノールダイマーの内部運動を理解する糸口となるものである。一方、振動回転相互作用に対して確立されている通常の理論を二量体の内部運動へ適用した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Ohashi and J.T.Hougen: "Group-theoretical Treatment of Tunneling Splittings in the Methanol Dimer" Journal of Molecular Spectroscopy. 163. 86-107 (1994)
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[Publications] Y.Kawashima,R.D.Suenram and E.Hirota: "The microwave transitions of the alkali metal hydroxides:the determination of eQqs for alkali metal atoms" Chemical Physics Letters. (to be published).