1993 Fiscal Year Annual Research Report
緑色光合成細菌の光捕集色素の高次構造と励起エネルギー移動
Project/Area Number |
05044137
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松浦 克美 東京都立大学, 理学部, 助教授 (30181689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MILLER Mette Odense Univ., Inst.of Biochem, 助教授
OLSON J.M. Odense Univ., Inst.of Biochem, 教授
三室 守 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (40142004)
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Keywords | 光合成細菌 / バクテリオクロロフィル / クロロソーム / 光捕集色素 / エネルギー移動 |
Research Abstract |
光合成のためのクロロフィルなどの色素は,すべてがタンパク質に直接結合した複合体として機能していると考えられてきた.ところが,緑色光合成細菌のクロロソームに存在するクロロフィルは,例外的に唯一タンパク質の関与なしに高次構造を形成し光捕集の機能をはたしている.本研究は,クロロソーム内の色素の高次構造と,その機能との関係を明らかにする事を目的とした.平成6年度は,2年間の継続研究の第1年目として日本側から分担者2名,研究協力者1名がデンマークの相手側研究室を3週間訪問して共同して実験を行い,以下の結果を得た. 1.様々な構成成分比で構成した人工的クロロソームを作成し,細胞内クロロソームと一番類似した吸収スペクトルと励起エネルギー移動をもたらす成分を推定した.バクテリオクロロフィルと両親媒性脂質の両者がその成分であることがはっきりした. 2.1で作成した各種の人工的クロロソームについて,蛍光の発光スペクトルと励起スペクトルを測定すた.これにより,これまで知られていなかった長波長側の成分が重要であることを発見した. 3.人工的クロロソームの脂質の状態について,スピンラベルプローブを用いたESRの測定を行った.その結果脂質の状態は,若干違うものの細胞中のクルロソームに類似していることが明らかになった. 4.クロロソーム中の色素の高次構造形成の中間状態を明らかにするために,ヘキサノール処理クロロソームからの高次構造形成の時間経過を,ストップトフロー法を用いて解析した.その結果,高次構造形成には2種類の経路があることを明らかにした.
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