1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト好中球のスーパーオキサイド産生酵素-その分子構成と活性誘導の機構-
Project/Area Number |
05044181
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田村 実 愛媛大学, 工学部, 助教授 (00128349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAMBETH J.D. アメリカ合衆国, エモリー大学・医学部, 教授
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Keywords | 好中球 / 活性酸素 / スーパーオキサイド / G protein / Cross-linking / NADPH oxidase / 貪食作用 |
Research Abstract |
好中球のO_2^-生成酵素(NADPH oxidase)の成分として、3種の細胞質タンパクと1種の膜タンパクが明かになってきているが、それらの相互作用および活性化の機構は依然として不明である。我々は、本酵素が極めて不安定であるにも拘わらず,架橋(cross-link)によって著しく安定化できることを見いだしている。そこでこの方法を応用し、活性状態における成分間の相互作用を明かにすることを試みた。Semi-recombinant系(遺伝子工学で得られたp47,p67,及びraclと形質膜画分からなる再構成系)でNADPH oxidaseを活性化し、これをS-S結合を含む開裂可能なcross-linkerで架橋固定したのち、この架橋complexを二次元電気泳動で展開し、Western blotを行った。即ち、一次元泳動で得た帯状のゲルを還元剤に浸してタンパク間の架橋を切断(S-S結合の還元的開裂)してから、二次元目のゲルに乗せて再び泳動を行った。このようにして展開したゲルを各種の抗体で染色し、スポットを同定した。以上の手法は本酵素では初めて試みられたものであるが、今回の実験によりこの方法で解析可能なことが明かになった。そして予備的な結果ではあるが、いくつかの細胞質因子間の会合体(p47とp67、p47とraclなど)およびこれら細胞質因子と膜成分の会合したと思われる高分子量(分子量200kD以上)の複合体の存在が示唆された。今後架橋の条件を変えることにより、また加えるrecombinantタンパクを加減することによりタンパク間の相互作用を明かにしたい。又、架橋安定化した活性複合体を単離し、架橋の部位についてタンパク化学的方法で検討したい。
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