1993 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性水疱症の病因ならびに診断に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05044186
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西川 武二 慶応義塾大学, 医学部・皮膚科, 教授 (50051579)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 雅行 慶応義塾大学, 医学部・皮膚科, 助手 (90212563)
ZONE John J. ユタ大学, 医学部・内科皮膚科部門, 主任教授
RICO M.Joyce デューク大学, 医学部・内科皮膚科部門, 助教授
HALL IV Russ デューク大学, 医学部・内科皮膚科部門, 準教授
STANLEY John 米国国立癌研究所, 皮膚科, 上級研究員
西岡 清 東京医科歯科大学, 医学部・皮膚科, 教授 (20077647)
清水 宏 慶応義塾大学, 医学部・皮膚科, 助手 (00146672)
橋本 隆 慶応義塾大学, 医学部・皮膚科, 講師 (20129597)
|
Keywords | 自己免疫性水疱症 / 天疱瘡 / 類天疱瘡 / 疱疹状皮膚炎 / 線状IgA皮膚症 / 自己抗原 / 分子生物学 / 免疫電顕 |
Research Abstract |
本年度は、国外派遣2回、および3名の外国研究者招へいを行ない、非常に活発に、かつ最新の意見交換を行なうことができた。西川は、多数の外国研究者と情報を交換し、多数の患者血清材料を交換することにより、新しい共同研究実験計画をたてた。現在、天疱瘡の自己抗原は種々のデスモソームカドヘリン接着分子であることが明かとなっている。橋本は各国の研究者よりデスモグレインおよびデスモコリンcDNAの供与を受け、デスモコリンが新しい天疱瘡抗原となりうる可能性を示しデスモグレインの部位特異的リコンビナント蛋白を造ることにより、エピトープマッピングを行なった。さらに、尋常性天疱瘡抗原cDNAをバキュロウイルス発現ベクター系により発現させることにより、正しいコンフォメーションを有する蛋白を得た。このリコンビナント蛋白により病原性抗体を吸収できたことは、新しい治療法の開発に重要な進歩をもたらすものと考えられる。 さらに来日したHall博士とは、主として疱疹状皮膚炎につき研究を進めた。この疾患は、日本人には非常に稀であることが知られている。その相違が遺伝的人種差に基づいている可能性を検討するため、邦人患者のHLAを検索した。その結果、欧米患者で多く認められるB8が本邦患者では認められなかった。Rico博士とは、主として水疱性類天疱瘡の共同研究を進めた。免疫ブロット法を用いて、その反応する抗原を明らかにした50例の日本人患者血清を送り、230kD水疱性類天疱瘡抗原cDNAを用いて作成した部位特異的なリコンビナント蛋白をコートしたELISA法により、エピトープマッピングを施行した。その結果、この抗原上には複数のエピトープが存在することが明かとなった。Zone教授とは、まず、線状IgA水疱性皮膚症の血中抗基底膜部IgA抗体の抗原物質について共同研究を行なった。多数の患者血清を用いた種々の免疫ブロット法の結果により、多くの患者が以前Zone教授の報告した97kD蛋白と反応することを確認し、新たに255kD蛋白が別の抗原物質である可能性を見出した。
|
Research Products
(9 results)
-
[Publications] 橋本 隆: "デスモソームと天疱瘡" 医学のあゆみ. 165. 190-194 (1993)
-
[Publications] Dmochowski M,Hashimoto T,Bhogal BS,Black MM,Zone JJ,Nishikawa T: "Immunoblotting studies of linear IgA disease" Journal of Dermatological Science. 6. 194-200 (1993)
-
[Publications] Hashimoto T,Ebihara T,Ishiko A,Shimizu H,Bhogal BS,Black MM,Stanley JR,Nishikawa T: "Comparative study of bullous pemphigoid antigens among Japanese,British,and U.S.patients indicates similar antigen profiles with the 170-KD antigen-" Journal of Invesitgative Dermatology. 100. 385-389 (1993)
-
[Publications] Dmochowski M,Hashimoto T,Garrod DR,Nishikawa T: "Desmocollins I and II are recognized by certain sera from patients with various types of pemphigus,particularly Brazilian pemphiugs foliaceus" Journal of Investigative Dermatology. 100. 380-384 (1993)
-
[Publications] Ishiko A,Shimizu H,Kikuchi A,Ebihara T,Hashimoto T,Nishikawa T: "Human autoantibodies aganst the 230-kD bullous pemphigoid antigen (BPAG1) bind only to the intracellular domain of the hemidesmosome,whereas those-" Journal of Clinical Investigation. 91. 1608-1615 (1993)
-
[Publications] Amagai M,Hashimoto T,Shimizu N,Nishikawa T: "Absorption of pathogenic autoantibodies by the extracellular domain of pemphigus vulgaris antigen" Journal of Clinical Investigation. (in press).
-
[Publications] 西川武二: "今日の治療指針" 医学書院, 1298 (1994)
-
[Publications] 橋本隆: "今日の治療指針" 医学書院, 1298 (1994)
-
[Publications] Hashimoto T: "Current Opinion in Dermatology" Current Sciences, 306 (1993)