1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05045030
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
前川 善一郎 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60047149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MCLNTYRE J.E リーズ大学, 繊維学部, 教授
LLOYD D.W. リーズ大学, 繊維学部, 助教授
DOBB M.G. リーズ大学, 繊維学部, 助教授
JOHNSON D.J. リーズ大学, 繊維学部, 教授
松尾 達樹 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (40243125)
藤田 章洋 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (70238567)
濱田 泰以 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (10189615)
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Keywords | 炭素繊維 / 引張りコイル試験 / 引張強度 / 圧縮強度 / 熱可塑性樹脂 / 界面 / 破壊機構 / 微小座屈 |
Research Abstract |
PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維に代表されるスーパー繊維の圧縮特性の測定を実施した。その後、引張リコイル試験法と呼ばれる試験法を採択した。この試験法は、数ある単繊維の圧縮試験法の中でも最も簡便に、かつ直接的に測定を行えるものである。その結果、炭素繊維等の引張強度が向上するに伴い、その圧縮強度も向上することが判明した。しかしながら炭素繊維ではその高い引張強度に比較して圧縮強度の値が低いことが確認された。これは炭素繊維の有する高い分子配向性等に起因するものと考えられる。次に、同一の炭素繊維を強化材とする2種類の炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の大標本圧縮試験を行った。マトリックス樹脂としてはポリフェニレンサルファイド(PPS)およびナイロン6を使用した。前者は非常に脆性的な樹脂であり、一方後者は非常に延性的な材料である。その結果、これらのマトリックス樹脂特性の違いは、炭素繊維強化複合材料の繊維方向の圧縮強度値には大きな影響を及ぼさないことが明らかとなった。しかしそのデータのばらつきは両材料で大きく異なった。これは両材料におけるマトリックス樹脂特性あるいは繊維/樹脂界面特性の違いが、炭素繊維強化複合材料の圧縮破壊機構に影響したためと考えられる。すなわち、それらの材料特性の違いが、圧縮荷重下における強化繊維の微小座屈現象の発生に寄与したものと推察される。また、これらの多数の試験片を使用した圧縮試験の実施により、炭素繊維強化複合材料の圧縮試験方法の確立については、ほぼ完成したものと考えられる。今後は、先の引張りコイル試験法により圧縮特性の測定を行ったスーパー繊維を用いた先進複合材料を成形し、確立された圧縮試験を実施することを予定している。さらにそれらの材料の界面特性を定量的に測定することも行い、それにより繊維、樹脂および界面から系統的なアプローチを進める所存である。
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