1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞のがん化をもたらす遺伝子の不安定性と核内構造の関連性
Project/Area Number |
05152047
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 冬木 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (30184493)
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Keywords | テロメア / 核内構造 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.テロメア繰り返し配列に対するヒト核内結合蛋白質の研究 既に、我々はHeLa細胞核抽出液に、ヒトテロメア末端に存在すると思われている一本鎖TTAGGG-繰り返し配列に対する結合蛋白質が存在することを見いだし、その純化・精製、アミノ酸配列の決定から、それらは既に非特異的RNA結合蛋白質として報告のあるhnRNP(hetrogeneous nuclear ribonucleoprotein)DおよびEであることを示した(文献参照)。このことは、これまでその特異的結合配列が不明であった、これらの蛋白質がテロメア一本鎖配列を認識している可能性を示す。このことをより直接的に証明するために、今年度、我々はhnRNP DのcDNAをクローニングし、in vitroで発現させ、これが精製された蛋白質と同じ特異的結合様式を持つことを示した。また、現在、合成ペプチドを用いて、抗D-、抗E-モノクローナル抗体を作成中である。 2.FISHによるテロメア配列の核内存在様式の検討 テロメアとゲノムの不安定性の関連を調べる目的で、種々の病態におけるテロメア配列の核内存在様式をFISHを用いて解析した。今年度は、特に、再生不良性貧血について注目した。末梢血液中の成熟した多核白血球は、apoptosisの途上にある細胞と考えられている。正常多核球では、テロメア配列は分葉核内に均一に分布していた。一方、再生不良性貧皿の多核球は、核膜周囲にテロメアが偏在化している例が多く、また、核自体も検体の調製過程で変形しやすいことを認めた。このことは、再生不良性貧血の原因として、核内構造の脆弱性が関与している可能性を示唆していると考えられた。
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