1993 Fiscal Year Annual Research Report
各種GST分子種の抗癌剤結合性と耐性発現に関する分子生物学的検討
Project/Area Number |
05152103
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
新津 洋司郎 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10045502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 康雄 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10236325)
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Keywords | GST-pi / Antisense cDNA / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
我々はGST-piの結合蛋白としての機能に着目し、抗癌剤とGST-piの結合性の有無が抗癌剤耐性に関与しているか否かを酵素阻害により検討し以下の結果を得た。抗癌剤のうちAdriamycin(ADM),Etoposide,Daunomycinは,GST-pi活性を阻害したのに対し5-Fluorouracil(5-FU),Vincristin,Bleomycinは,GST-pi活性を阻害しなかった。そこで各種ヒト癌細胞株のGST-pi濃度を測定し、ADM(GST-pi結合性),5-FU(GST-pi非結合性)の感受性(Dyeuptale法)をIC50にて比較検討した。ADMのIC50とGST-pi濃度に有意な正の相関(r=0.92)を認めたのに対し5-FUのIC50とGST-pi濃度には,相関を認めずGST-piと抗癌剤との結合が耐性の機序として重要である可能性が示唆された。次にGST-piの抗癌剤耐性への直接関与を証明するためGST-piantisense cDNAをヒト大腸癌細胞株(M7609)に導入した。GST-pi濃度は,antisense導入により64.6±8.4ng/mlより34.8±3.3ng/mlに低下すると共に,ADMに対する感受性は約3倍に増加しGST-piが直接耐性に関与していることが確認された。しかし5-FUに対する感受性に変化を認めなかった。更に獲得耐性へのGST-piの関与を調べるためADM耐性株(M7609/ADM)を作製した。GST-pi濃度は,親株が64.6±8.4ng/mlに対し耐性株で113.6±8.6ng/mlと増加を認め、ADMに対する感受性は,親株に対し6倍の耐性を示した。しかし、5-FUに対する感受性は両株に差を認めなかった。他の抗癌剤耐性因子であるMDR1の発現及びGSH量は、両株に有意差を認めず、GST-piがADM耐性に深く関わっていることが証明された。
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Research Products
(1 results)