1993 Fiscal Year Annual Research Report
新しい視点からの一次スクリーニング法の確立を目指して
Project/Area Number |
05152108
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
川添 豊 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80106252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貝谷 トヨ 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (10080201)
幸田 光復 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60124286)
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Keywords | 制癌剤 / 固型癌 / 培養細胞 / 静止期細胞 / スクリーニング法 |
Research Abstract |
本年度は、培養細胞を用いる一次スクリーニングにおける、薬物の殺細胞性に与える細胞濃度の効果(2x10^5cells/mlと3.6x10^6cells/ml)、及び、培地の栄養状態の効果(新鮮な培地と48時間細胞培養に用いた培地)について検討を行った。用いた薬物は、アドレアマイシン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、5-フルオロウラシノン、シスプラチン、およびACNUである。これらの薬物はいずれも、培地の種類に拘らず、高密度細胞に対しては全く無効であった。一方、低密度細胞に対しては、新鮮培地である時のみ有効であった。この結果は、これら薬物はいずれも、増殖期にある細胞に対してのみ殺細胞性が期待できる事を示す。即ち、固型の癌の内部のように栄養状態が悪く増殖を停止している癌細胞に対しては無効である事を示唆する。既存の制癌剤以外の薬物として、その制癌効果に注目されたことのあるメナジオン、及び、その関連化合物であるナフトキノン類について同様の検討を行った。これらの誘導体の殺細胞性は培地の種類には無関係に有効である事を示し、一方、高密度細胞に対しては、数倍の作用濃度を必要としたものの、強い殺細胞性を示し、既存の制癌剤とは顕著な差のある事が判明した。しかし、当初期待したような、非増殖期細胞に対して、栄養状態の悪い時にのみ強い細胞毒性を示す誘導体は得られなかった。今後、この方法を更に改良すると同時に、栄養状態が悪く増殖を停止している細胞に対してのみ細胞毒性を発揮する薬物の選別を行い、in vovoにおける固型癌に対する制癌効果との相関を明らかにしたい。
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