1993 Fiscal Year Annual Research Report
地域コホートを用いた宿主の発がん環境の評価に関する分子疫学的研究
Project/Area Number |
05152147
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
中地 敬 埼玉県立がんセンター研究所, 疫学部, 主任研究員 (00142117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 一枝 埼玉県立がんセンター研究所, 疫学部, 研究員 (80260230)
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Keywords | 肺がん / 発がん感受性 / CYP1A1 / 遺伝子多型 / 喫煙 |
Research Abstract |
肺〓平上皮がんにおける発がん感受性の個体差と喫煙との関係を、発がん物質の代謝に関与する酵素P4501A1とGST1の遺伝子多型に基づいて検討した。患者の生涯累積喫煙量をみると、まずCYP1A1の二つの多型(MspI とILe-Val多型)について遺伝子型による喫煙量の違いが示された。さらに発がん物質の解毒に関与するGST1の遺伝子多型(対立遺伝子の双方に欠失があるものとそれ以外)と組み合わせて検討したところ、CYP1A1とGST1の組み合わせた遺伝子型の喫煙量には明かな序列が観察され、患者群で多くみられる遺伝子型の組み合せほど少ない喫煙量で発がんしていることが分かった。すなわち、MspI 多型の遺伝子型CあるいはIle-Val多型の遺伝子型Val/Valと欠失のあるGST1遺伝子型をもった患者は、一般喫煙者の平均累積喫煙量と同程度の喫煙で肺がんを発症していた。次に、喫煙と遺伝子型の組合せに対するリスクを評価するため、地域一般住民コホートのDNAバンクから患者と性・年齢を一致させたコントロールを選び症例対照研究を行なった。遺伝子型による発がん感受性の差異は喫煙量が一般集団の喫煙者の平均量以下の低い方で顕著であり、感受性の高い遺伝子型のCYR1A1(C型あるいはVal/Val型)と欠失のあるGST1遺伝子の両方を持つ人の肺〓平上皮がんに対する相対危険は16あるいは41倍と高いことを明らかにした。 コホートを用いた症例対照研究を行なう一方、地域コホートの追跡調査は継続して行なわれており、現在までに120人のがん〓患・死亡者を同定している。これまで食生活を中心とした生活習慣と免疫・血清学的生体マーカーとの関連性を断面的に検討しており、特に緑茶の成人病予防効果を強く示唆する結果を得ている。現在、追跡調査の結果もあわせて解析を進めている
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakachi,K.: "Polymorphisms of the CYP1A1 and glutathione S-transferase genes associated with susceptibility to lung cancer in relation to cigarette dose in a Japanese population" Cancer Res.51. 2994-2999 (1993)
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[Publications] Kawajiri,K.: "Germ line polymorphisms of p53 and CYP1A1 genes involved in human lung cancer" Carcinogenesis. 14. 1085-1089 (1993)
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[Publications] Kawajiri,K.: "The CYP1A1 gene and cancer susceptibility" Crit.Rev.Oncol.Hematol.14. 77-87 (1993)
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[Publications] 今井 一枝: "食生活とアメニティ" 現代のエスプリ. 315. 176-184 (1993)
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[Publications] 中地 敬: "発がんに対する免疫的防御の研究とその問題点" 癌の臨床. 40(in press). (1994)
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[Publications] 原沢 道美: "日常臨床のための肺癌" 現代医療社, 213 (1993)