1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05152151
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
横田 淳 国立がんセンター研究所, 生物学部, 部長 (10191503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢追 義人 国立がんセンター研究所, 生物学部, 室長 (20109979)
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Keywords | 転移 / がん抑制遺伝子 / 内皮細胞増殖因子 / 肺がん / 第2染色体 |
Research Abstract |
本研究では、がん細胞の悪性化、特に転移能の獲得に関わる遺伝子の単離を目的として、がんの悪性化に伴う遺伝子変異の蓄積動態の解析から、その遺伝子単離をめざした。即ち、第一には、転移能の異なるがん細胞間で、転移能と相関して変動している遺伝子を同定する。第二には、原発腫瘍と転移腫瘍との解析から、転移する過程で蓄積している遺伝子変化を探索する。その結果、肺がんの原発腫瘍と脳転移腫瘍における遺伝子変化の比較検討から、第2、18、22染色体上のがん抑制遺伝子が肺がんの悪性化に関わっていることを示唆する結果を得た。また、PCR法に基ずくゲノムフィンガープリント法(AP-PCR法)を用いて、肺小細胞がん細胞株の一例で第2染色体長腕(2q33)のホモ欠失を見い出した。上記の結果を総合して、第2染色体長腕には肺がんの悪性化に関わるがん抑制遺伝子が存在することが示唆された。そこで、さらにホモ欠失の染色体領域の遺伝子地図を作製するとともに、その領域内にある遺伝子の単離を試みた。その結果、欠失領域は少なくとも100kb以上であり、また、この領域内に正常肺などで発現している遺伝子をひとつ同定した。現在、この遺伝子の変異が、肺がんなど第2染色体に欠失のあるヒトがんで見られるかどうか検索中である。 また、実験転移モデルにおけるがん細胞の転移能が、がん細胞のどのような生物学的特性によるかを明らかにするため、がん細胞が産生する血管新生因子・増殖因子などとの関連性を検討した。しかし、内皮細胞増殖因子に関しては、転移モデルでの転移能との相関が示されず、がん細胞における転移能獲得の主要因ではない可能性が高いと考えられた。今後、組織特異的な増殖因子やその受容体など他の増殖因子を検索していく必要があると思われる。
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[Publications] Ookawa,K.,Yokota,J.: "Concordant p53 and DCC alterations and allelic losses on chromo-somesl3q and l4q associated with liver metastasis of colorectal carcinoma" Int.J.Cancer. 53. 382-387 (1993)
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[Publications] Kohno,T.,Yokota,J.: "Homozygous deletion at chromosome 2q33 in human small cell lung carcinoma identified by Arbitrarily Primed PCR genomic fingerprinti" ONCOGENE. 9. 103-108 (1994)
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[Publications] Hatai,M.,Yaoi,Y.: "Inhibition of cell adhesion by proteolytic fragments of type V collagen" Cell Struct.Funct.18. 53-60 (1993)