材料技術・エネルギー技術のトレンドと資源物理学的見直し

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05201114
• Research Institution: Chukyo University
• Principal Investigator: 河宮 信郎 中京大学, 教養部, 教授 (70023158)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 山田 國廣 循環科学研究室, 室長 ; 藤田 祐幸 慶応大学, 教養部, 助教授 (20051716) ; 黒田 光太郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30161798) ; 白鳥 紀一 大阪大学, 理学部, 講師 (80028125) ; 井野 博満 東京大学, 工学部, 教授 (20029466)

Research Abstract

エネルギー技術に関連する研究としては、エネルギー変換の原理に関して、非準静的な熱・機械(Thermo-mechanical)変換の効率を現実的かつ典型的なモデルに則して考察した。この視点から、炭酸ガスの回収・処理がグローバルには環境負荷を緩和しないことを明らかにした。また、核エネルギー技術に関して、世界的には原発の能力・電力源シェアの停滞・漸減のトレンドがあることを立証した。また増殖炉開発も日本以外で放棄された。太陽電池に関しては、製造サイドからコストと生産量、技術的な諸条件などについて基本的な情報を得た。電子素子用の半導体製造への寄生を脱して、独立の産業になるだけの量産規模(1000ton単位)を保証することが今後の発展のための基本条件である。
材料技術のトレンドとしては、最大の素材である鉄鋼の蓄積量が日本でも10億トンを超して、リサイクル資源(電炉鋼)が一次資源の半分に迫っている。したがって、今後は再生資源がリサイクルに入ってくることになり、不純物抑制がきわめて重大な問題になる。折しも、鉄屑に放射性廃棄物が混入されるという事件が米国・台湾などで発生したので、この事態を広範的に調査している。材料技術においては、環境負荷の軽減のための研究開発がさかんになりつつある。しかし、社会制度的な改善と合わせて進めないと、従来の環境負荷を別種のものに代替するに止まる危険もある。また主要な金属材料に関して、年産量と価格との関係を明らかにし、環境への蓄積の状況や再資源化に対する条件などを考察した。

Research Products

• [Publications] 河宮信郎: "地球環境からみた材料技術・エネルギー技術" まてりあ:日本金属学会会報94年5月号. 33. (1994)
• [Publications] 山田國廣: "国際規格化が進む環境監査" えんとろぴい:エントロピー学会誌. 29号. 1-5 (1994)
• [Publications] 尾崎充彦: "核燃料輸送の危険性" 技術と人間. 94年1月号. 64-76 (1994)
• [Publications] 糸土広: "マンションの壁から放射線上" 技術と人間. 93年8月号. 25-35 (1993)
• [Publications] 糸土広: "マンションの壁から放射線下" 技術と人間. 93年9・10月号. 54-63 (1993)