1993 Fiscal Year Annual Research Report
産業社会の情報化が経済構造に与える影響-情報化と多品種少量化のゆくえ
Project/Area Number |
05202207
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
岡本 義行 法政大学, 社会学部, 教授 (50105847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 直樹 東京大学, 社会情報研究所, 助手 (80242155)
川俣 雅弘 法政大学, 社会学部, 助教授 (80214691)
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Keywords | 情報化 / ネットワーク / システム化 |
Research Abstract |
企業の情報化の推進状況、そしてそれにともなう企業間関係や産業全体の構造の変化を調査・研究してきたが、とくにその分業関係が複雑な繊維・アパレル産業や自動車産業を調査の対象としてきた。 昨年度の調査結果にもとづき、企業内および企業間ネットワークの構築にかんする情報化の現状とその問題点に関心を集中させた。今年度の調査からは次のように推論できる。企業が情報化を推進するためには、企業組織そのものをシステム化しなければならない。またEDIのようにデータ・情報の標準化しなければならない。実際、そのためには、それまで企業内部で曖味に処理されていた業務を見直し、企業戦略に整合的なシステムを企業内や企業間に埋め込む必要がある。すなわち、システム化が情報化に先行しなければならない。ところで、情報化に成功しているといわれる企業は、情報化を導入する以前から企業目標に適合的なシステムを構築してきたし、情報化の成果には大きなばらつきが見られる。 ところが、いわゆる日本的経営という経営スタイルは情報を戦略的に企業内で処理するのではなく、従業員の間で情報を共有することによって経営成果をあげるというものである。企業は明確な目標をもったシステムであるというよりは経済環境に適合する存在である。この点で、情報化は日本的経営と適合的でないかもしれない。 企業間関係については、従来の下請け関係をもとにした情報化によるネットワークの構築は必ずしも十分機能しないようである。企業間ネットワークが双方にとって利益となる関係の構築なしには情報化は意味をもたない。 既存の組織や関係を前提とした情報化の推進はそれを有効利用することにはならない。情報化は明確な目標にもとづく新たな関係やシステムの構築が必要となるのではないかと考えられる。
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Research Products
(1 results)